アドルフ・ヒトラー『わが闘争(上)』角川書店(5)
「第七章 革命」でドイツ帝国の崩壊を目の当たりにしたヒトラーは、その原因の分析を「第十章 崩壊の原因」(P291-368)で述べています。
ヒトラーにとってドイツ帝国は、かつて一人の兵士として忠誠を誓った「偉大なる祖国」であり、それがなぜ崩壊したのかを分析しておくことは避けては通れないことです。
さて、その分析によると、帝国が崩壊した原因は、敗戦(第一次世界大戦での敗北)ではないとのこと。
つまり、確かに敗戦はわれわれの祖国の将来にとって巨大な意味を持った。しかし敗戦は原因ではなく、それ自体またしても諸原因から生じた一結果であるにすぎない。(P296)
その上で、ドイツ帝国を崩壊に至らしめた「病原体と病状」(P302)を次々に挙げて行きます。教育の欠陥、君主政治の墓掘人、新聞、梅毒、売春制度、芸術、演劇、戦前の議会政治、…。もちろん、ユダヤ人もこの「病原体」の中に入れておくことを著者は忘れていません。
そして、本章の最後でこのような結論を述べています。
旧帝国の破滅のもっとも深い究極的原因は、人種問題および、それが民族の歴史的発展に対してもつ意味を、認識しなかったことにある。なぜなら、民族生活で起るすべての事件は、偶然の現われなのではなく、たとえ、人間が自分の行為の内面的根拠について意識しえない場合にも、種や人種の自己保存と増殖の衝動が進む自然法則的な過程だからである。(P368)
ということで、「第十一章 民族と人種」へと続きます。尚、第十一章では「人種問題および、それが民族の歴史的発展に対してもつ意味」を論じており、そちらはそちらで突っ込みどころがたくさんあって面白い。
第十一章のレビューは次回にて。
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わが闘争(上)―民族主義的世界観(角川文庫) 著者:アドルフ・ヒトラー |
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