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地獄の黙示録 特別完全版(2000年、アメリカ)

 特別完全版というのは、監督(コッポラ)が自ら49分ものフッテージを追加したもの(※初公開時、上映時間等の制限により入れられなかったとのこと)。ただでさえ長い作品なのに、更に49分も追加して202分(約3時間半!)もの長さになっていて、私は自宅で数回に分けて視聴しました。

監督:フランシス・F・コッポラ
出演:マーロン・ブラント、ロバート・デュバル、マーティン・シーン、ローレンス・フィッシュバーン、クリスチャン・マルカン、オーロール・マルカン、ハリソン・フォード、デニス・ホッパー
原題:Apocalypse Now REDUX

あらすじ…ベトナム戦争のさ中、命令を無視してジャングルの奥地に“王国”を築いているカーツ大佐を抹殺するため、ウィラード大尉は4人の部下と共に川をさかのぼって行く…。(パッケージの紹介文より引用)

 カーツ大佐やウィラード大尉はもとより、そのほかの登場人物たちも色々と哲学的なことを語ってくれています。哲学に造詣の深い人間ならばこれを観て様々な考察を繰り広げることが可能なのでしょうが、私には荷が重い。荷が重い、と言ったのは、もしもここで私が哲学をやりだすとしたら作品を何度も観なければならず、202分の超大作を繰り返し観るのは正直言って体力的・精神的に無理があるからです。
 ということで、私は哲学的考察は放棄して、ウィラード大尉一行の地獄の道行きを眺めつつ、その中で出会う正気を失った人たちを観察していました。

 それにしても、ダンテ・アリギエーリ『神曲』「地獄篇」みたいだな…。地獄の道行きという表現を用いたことで、数年前に読んだ古典作品を想起しました。一概に比較は出来ないでしょうが、両者を比較考察してみると面白いかもしれませんな(今の私にはとても手に負えないのでやりませんが…)。

 ところで、特別完全版に収録されたシーンの中で、フランス人の農園が登場し、ウィラード一行が歓待されるくだりがあります(※フランスはベトナムを植民地支配していた)。そこで一人のフランス人男性が卵を割って、「白身が出て黄身が残る」と言って立ち去ります。
 字幕では「白身」「黄身」と表記してありましたが、セリフでは「white」「yellow」、つまり白人(white)と黄色人種(yellow)に喩えているわけです。
 自分たち白人は、黄色人種であるベトナム人に追い出される…、その運命は避けられないことは頭ではわかっているものの、心ではそれを認めたくない…。そんな心情が見えてきます。

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販売元:角川エンタテインメント
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