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小山信康『ノートパソコンは買うな! 99%の人は騙される 価格の秘密』経済界

 ファイナンシャル・プランナーの著者が、ノートパソコンやワイン、保険、ローンなどの価格構造(値段のカラクリ)を説き明かすというもの。
 ちなみにタイトルで「ノートパソコンは買うな!」とありますが、著者(小山信康)は「親戚から中古で買った」(P18)ノートパソコンを使用しています。とはいえ、本書をよく読めば著者はノートパソコンをメインPCにはしておらず(「出張などの都合により外でパソコンを使いたいときにのみ、ノートパソコンを持ち歩くようにする」P32、「ノートパソコンには大切なデータを一切保存していません」P33)、デスクトップパソコンをメインにして両者を使い分けています。
 とすると、「ノートパソコンは(メインPCとして)買うな!」ということでしょうか。…と思ったら、次の一文を発見。

 もちろん、ノートパソコンを絶対に買ってはいけないというのではありません。私のように出張やセミナーなどでデータを持ち運ぶ必要のある人は、どんどんノートパソコンを使用するべきでしょう。大切なことは、本来の目的を考えて使用することです。(P36)

 本来の目的…? なるほど、ノートパソコンの特徴は「パソコンを持ち運ぶことができる」ということであり(その分、デスクトップに較べて耐久性や拡張性などは犠牲になっている)、外出先でパソコンを使うという「本来の目的」に合致する場合にこれを使うべきというわけですな。

ノートパソコンは買うな!―99%の人は騙される価格の秘密 (リュウ・ブックス アステ新書) Book ノートパソコンは買うな!―99%の人は騙される価格の秘密 (リュウ・ブックス アステ新書)

著者:小山 信康
販売元:経済界
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桐生操『女王メアリ 血の死刑台』講談社

 表紙だけを見るとベルばら風の少女マンガかと錯覚するかもしれませんが、中身は活字びっしり(イラストはほんの申し訳程度に数点掲載されている)の本です。
 で、このスコットランド女王メアリの評伝を読んでいて感じたのは、
「パワーゲームのプレーヤーとしては力不足」
 ということです。力不足、と書いたのは、メアリが逃亡先にイングランドを選ぶなど、いくつものミスを犯していることが本書で指摘されているからです。又、最初の結婚(フランソワ二世)は子供の頃から決められていた政略結婚だからともかくとして、二回目の「分別を失わせるまでに変えた」(P103)結婚(ダーンリ)や三回目の結婚(ボスウェル)は何としてでも避けた方がメアリのためになったことでしょう。

 平和な時代なら、彼女は社交界の花形として一生を送ることができたのでしょうが…。

女王メアリ 血の死刑台 (講談社プラスアルファ文庫)
Book
女王メアリ 血の死刑台 (講談社プラスアルファ文庫)
著者 桐生 操
販売元 講談社
定価(税込) ¥ 630

東京都歴史教育者評議会編『東京修学旅行ハンドブック――学び・調べ・考えよう』

 東京都歴史教育者評議会の名称にふさわしく、歴史関連の施設が目に付きます。例えば江戸城跡(P9)、第五福竜丸展示館(P32)、東京都慰霊堂(P36)、『解体新書』誕生の地(P57)、…。
 とはいえ、中高生にとってはそんな堅苦しいものより、本書の末尾にほんの申し訳程度に添えられている「5 若者の街――渋谷・原宿<渋谷区>」(P59-63)の部分が一番興味を持てるんじゃないでしょうか。カビの生えた資料館よりも、渋谷109や竹下通りの方が彼らの目には魅力的に映るでしょうから(ただしガリ勉、真性オタ、一部の変人を除く)。

Book 東京修学旅行ハンドブック―学び・調べ・考えよう

販売元:平和文化
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TOKYO BLOGGER STYLE Vol.1

 上野の御徒町で入手しました。
 表紙を飾るコギャルは、人気ブロガーの「ゆんころ&おかりえ」(髪の長い方がゆんころで、短い方がおかりえらしい)とのこと。彼女たちは本職のモデルではなくて、いわゆる読者モデルというやつですか。
 また、本誌にはこの二人以外にも多数の読者モデルと思しきコギャルたちが掲載されていて、その殆どにブログのURLが併せて紹介されています。気に入った娘がいたら、ブログへGO!ということですな。
 それにしても、撮影場所が道路だったり公園だったりと、撮影は近所で済ませているのであろうということと、読者モデルをメインにしていることから考えると、予算は相当少ないんじゃないかと推察いたします。

TOKYO BLOGGER STYLE Vol.1

笹本武志『はじめての雅楽 笙・篳篥・竜笛を吹いてみよう』東京堂出版社

 雅楽を初めて演奏する人のための入門書。
 私は近所の図書館で借りてきて読んだのですが、別に雅楽をやろうなんて殊勝な気は全くありません。本書にはCDが1枚付いており、そこに収録されている雅楽を聴いてみたかったのです。
 P138の「付属CDインデックス」によると、雅楽の収録曲は「越天楽」「五常楽急」「陪臚」、他に「遠き山に陽は落ちて」「仰げば尊し」「さくらさくら」を雅楽で演奏したものがあります。
 で、実際に聴いてみると、「越天楽」はどこかの神社の初詣に行った時に社殿の方からBGMとして流れてきた曲だな、と思い至りました。

はじめての雅楽 笙・篳篥・龍笛を吹いてみよう Book はじめての雅楽 笙・篳篥・龍笛を吹いてみよう

著者:笹本 武志
販売元:東京堂出版
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北園大園『毒のいきもの』彩図社

 毒を持つ動植物を紹介。マムシ(P14)やトリカブト(P136)といった日本人にはおなじみ(?)のものから、スイートピー(P140)やウメ(P152)といった「こんなのに毒があるの!?」といったものなど、色々とあります。あ、ちなみに、梅の実は梅干になることによって「その毒性はほとんど失われる」(P152)し、梅酒も「アルコールにより毒性をなくしている」(P152)とのこと。
 それにしても、日本にもサソリ(P36、ヤエヤマサソリ)やコブラ(P40、ヒャン/ハイ)が棲んでいるのか…。

毒のいきもの Book 毒のいきもの

著者:北園 大園
販売元:彩図社
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千葉剛『宇宙を支配する暗黒のエネルギー』岩波書店

 宇宙エネルギーの組成を調べてみると、ニュートリノ・光子が0.5%、星が0.5%、バリオン(通常の物質)が5%、ダークマター(バリオンでない物質)が25%、そして残りの7割が正体不明のダークエネルギーとのこと(P37)。
 では、ダークエネルギーとは何なのか? 本書のP56では「ダークエネルギーの候補を探してみましょう」ということになっていて、アインシュタインの宇宙定数や偽の真空エネルギーを挙げているものの、「またこれまで予想もつかなかった候補もありうるかもしれません」(P58)と、まだ見ぬニューフェイスの存在を示唆しています。要するにまだわからないというのが実情のようです。

宇宙を支配する暗黒のエネルギー (岩波科学ライブラリー) Book 宇宙を支配する暗黒のエネルギー (岩波科学ライブラリー)

著者:千葉 剛
販売元:岩波書店
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浜田和幸『イラク戦争 日本の分け前 ビジネスとしての自衛隊派兵』光文社

 イラク戦争は石油利権や復興事業などのビジネスと密接につながりがあり、日本がそのビジネスの「分け前」を享受できるかというと、それは…というもの。
 「すでにオサマ・ビンラディンもつかまっている」(P52)や「やはりまだ本物のフセインは生きている!」(P98)といった、かなり眉唾モノの情報が散りばめられているので、本書を読む際は高いレベルでの注意が必要かと思われます。又、情報の出所に言及せずに「~という。」といった伝聞情報は特に注意すべし。

 浜田和幸/イラク戦争日本の分け前ビジネスとしての 浜田和幸/イラク戦争日本の分け前ビジネスとしての
販売元:HMVジャパン
HMVジャパンで詳細を確認する

『mulajin Jul. Aug. 2010 vol.24』

 このフリーマガジンは、第33回ふるさと区民まつり(世田谷区の馬事公苑にて開催)で入手しました。
 小巻特製のり弁(P07)、納豆チーズごはん(P10-11)、とうもろこしティラミス&ソイティーノ(P12-13)などなど、色々な料理の写真とレシピが掲載されていて、ちょっとした料理本の様相を呈しています。
 ええと、私でも作れそうなやつは…ああ、ありました、P26にフルーチェがw。ハウス食品のフルーチェのページにはアレンジレシピがあるそうですので、その中で簡単そうなのを試してみるといいかもしれませんな。

http://www.mulajin.jp/

Mulajin

『富士山の恵みいっぱい 富士宮特産品学習ノート』富士宮市フードバレー推進協議会

 第33回ふるさと区民まつり(世田谷区の馬事公苑にて開催)で入手しました。
 一応、ノートという体裁はとっていますが、文章を書き込めるスペースは全体の半分にも満たず、大部分は富士宮の特産品(食品)の説明及び店舗の紹介で埋められています。各項目は以下の通り。

(1)特産品販売所
(2)にじます
(3)畜産品
(4)乳製品
(5)農産加工品・農産物
(6)酒類
(7)富士宮やきそばセット
(8)菓子類

 B級グルメとして有名な富士宮やきそばが7番目ですか。富士宮市内での富士宮やきそばの地位がまだまだ低いということなのでしょうか。

富士宮特産品学習ノート

『季刊信州 夏号』長野県

 第33回ふるさと区民まつり(世田谷区の馬事公苑にて開催)で入手しました。
 表紙を飾るのは、木曽川の支流の阿寺川沿いに続く阿寺渓谷。エメラルドグリーンの清流が何とも涼しげで、このところの暑さで脳をやられている私はこれを凝視していると頭がクラクラしてきます。すいません、変なこと言って。暑さのせいです、多分。
 ちなみに、裏表紙には「信州・映画の舞台を訪ねて」と題した記事で、2009年公開のアニメ映画「サマーウォーズ」の舞台として上田城本丸の東虎口櫓門が掲載されています。私はこの映画を試写会で一回観ただけですが、そういえばこの門を見たような気がしますな。

http://www.nagano-tabi.net/

季刊信州 夏号

『食事バランスガイド』農林水産省

 第33回ふるさと区民まつり(世田谷区の馬事公苑にて開催)で入手しました。
 表紙にはピカチュウが使われており、このガイドブックの中にもピカチュウをはじめとするポケモンの数々が掲載されているのですが、こいつらは特に何かをするわけではなく、ただ単に埋め草的な存在に終始しています。
 まあ、ポケットモンスターであるピカチュウと、人間とは体の作りが違うしサイズも異なるので、当然のことながら食べるものの種類と量が違うはずです。そんなピカチュウに人間の「栄養指導」をしてもらっても説得力に欠けるので、特に何もしないのは正解かもしれません。

http://www.maff.go.jp/food_guide/balance.html

食事バランスガイド

『観光ガイド 二本松』二本松市・二本松観光協会・二本松駅観光案内所

 第33回ふるさと区民まつり(世田谷区の馬事公苑にて開催)で入手しました。
 福島県二本松市の観光ガイドブック。二本松市って何があったのかな…と思って調べてみると、日本最大級の菊の祭典「二本松の菊人形」(P6)があります。それから…お、鬼婆で有名な安達ヶ原(P26、安達ヶ原ふるさと村)も二本松市内でしたか。

http://www.nihonmatsu-kanko.jp/

観光ガイド 二本松

八重野充弘『埋蔵金伝説を歩く ボクはトレジャーハンター』角川学芸出版

 本書に引用されている畠山清行氏の手紙によれば、著者は「レジャー半分」(P61)で宝探しをやっており、全財産をつぎ込んで埋蔵金探しに熱中している人たちに較べれば一歩も二歩も引いて見ることができるから、その分「常識的」なのでしょう。
 例えば本書では何十メートルも地中深く掘る例が出てきますが、それに対して著者はこう述べています。

 ぼくはよく埋蔵金を掘る深さについて聞かれることがあり、いつも「ズバリ、五、六メートルがメド」と答えることにしている。秘密裏に埋蔵工事をやるためには、さほど人数を動員できないこと、いざというときには速やかに掘り出さなければならないこと、そして、昔の道具と技術を考慮すれば、どんなに大規模な工事をしていたとしても、それくらいが限度だ。(P180)

 この他にも、埋蔵金伝説に熱中している人の頭を冷やすような分析をしているので、埋蔵金に興味のある人は参考にしておいた方がいいでしょう。とはいえ、著者自身も埋蔵金伝説の夢とロマンに取り憑かれているんですけどね。

 …え? 私ですか? 私は徳川埋蔵金みたいなご大層な財宝を掘り当ててやろうなんて気はありませんよ。寧ろ、どうせ掘り当てるなら長屋王木簡のような史料的価値の高いものの方がいい。学術的探究心を満たせますから。

埋蔵金伝説を歩く―ボクはトレジャーハンター (角川地球人BOOKS) Book 埋蔵金伝説を歩く―ボクはトレジャーハンター (角川地球人BOOKS)

著者:八重野 充弘
販売元:角川学芸出版
Amazon.co.jpで詳細を確認する

北園大園『へんな古代生物』彩図社

 古生代・中生代・新生代の、奇妙な姿かたちをした生物たちを紹介。ステゴサウルス(P72)やアンモナイト(P96)といった有名どころもチラホラ見受けられます。
 ちなみに、「へん」といえば各項目の解説の中に「へん」な文章(ネタ要素の強い駄文)を仕込んでいるのも本書の特徴です。例えばP132のケブカサイの解説の末尾部分を引用してみると…

 同様に、ワキ毛を剃っていて当たり前のグラビアアイドルの中で、堂々たるワキ毛をたくわえた“ワキ毛アイドル”こと矢吹シャルロッテがついつい気になってしまうのも、無理からぬこと……いや、これはケブカサイの例とは違い、個々人の性癖による部分が大きいのかもしれない。(P132)

 引用文では省略しましたが、「矢吹シャルロッテ」の部分に※が付いていて、脚注には矢吹シャルロッテファン以外の人にとってはどうでもいい情報を載せています。「まったく、こんなしょうもないこと書きやがって…」と、ネタとして楽しむべきなのでしょう。

へんな古代生物 Book へんな古代生物

著者:北園 大園
販売元:彩図社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

『世田谷みやげ』(財)世田谷区産業振興公社

 東京は世田谷区のお土産ガイドブック。
 例えば祖師ヶ谷大蔵には「ウルトラないも焼酎」(P15)、「ウルトラ健康茶」(P16)、「ウルトラマン商店街オリジナル印鑑ケース」(P17)といったウルトラマン関連商品があります。あそこはウルトラマンで商店街を活性化しようとしているからなあ…(※近くに円谷プロがあり、祖師ヶ谷大蔵駅前にはウルトラマンの像が建っている)。

世田谷みやげ

http://www.setagaya-icl.or.jp/miyage/

『南魚沼コシヒカリ誕生秘話』

 第33回ふるさと区民まつり(世田谷の馬事公苑にて開催)で入手しました。
 小学生3人が山に登って、その中の一人(愛ちゃん)が南魚沼産コシヒカリが誕生した経緯を講釈するというものです。
 それにしても、愛ちゃんの語る言葉がとても小学6年生のものとは思えません。ちょっと愛ちゃんのセリフを引用してみます。

「元々はね 昭和19年に長岡の新潟県農事試験場で農林22号と農林1号を人工交配させて作った品種なの」(P3)
「品質の良い米を安定して生産する技術や倒伏の軽減 いもち病対策に新潟県農業試験場の研究者が中心になって北陸各県と共同で研究を重ね」(P13)

 本当に小学生か? しかも、山上で何の資料もないのにスラスラと言えるのか?
 それなら寧ろ、白ヒゲを生やして白衣を着た博士でも登場させて、子供たちを聞き手にしてその博士に解説させた方がよかったんじゃないでしょうか。

南魚沼コシヒカリ誕生秘話

ほっくほくmagazine 2010.7 VOL.40 夏・秋号

 第33回ふるさと区民まつり(世田谷の馬事公苑にて開催)で入手しました。
 「ほくほく線沿線イベント情報マガジン」とのことですが、ほくほく線って何だ? そう思って調べてみると本誌P2-3の地図にほくほく線が掲載されていました。新潟県の六日町と、同じく新潟県の犀潟を結ぶ、ローカルな電車のようです。
 で、本誌はそのほくほく線沿線の観光スポットやお祭りなどのイベント情報を紹介しています。
 竜ヶ窪の池(P6)とかに行ったら、面白い写真が撮れるんじゃないか(もちろん風景写真という意味で)…、あ、でも、P2-3の地図でチェックすると、ほくほく線から随分と離れているぞ。

ほっくほくmagazine 2010.7 VOL.40 夏・秋号

http://hokkuhoku.info

とりあえず麦茶

ブログネタ: あぁ暑い…。「ぐいっと一杯!」飲むならどれ?参加数拍手

 とりあえず冷蔵庫でギンギンに冷えた麦茶を飲みます。でも、あんまり飲みすぎると頭が痛くなるので注意。

松岡和子訳『ヘンリー六世 全三部』筑摩書房(4)

 第三部は薔薇戦争真っ盛り。戦争のシーンがいくつも出てきます。おかげで、読み終わる頃にはどの戦いで誰が死んだのか思い出せず、巻末の「『ヘンリー六世』関連年表」を繰り返しチェックすることになりました。
 で、第二部でちょっとだけ登場したリチャード(ヨーク公の息子、後のリチャード三世)が、第三部ではグロスター公となって活躍します。しかも、なかなか腹黒い。

 クレランス、用心しろ、お前のせいで俺は日陰の身だ、
 だが、お前のために暗黒の一日を用意してやる。
 まず、エドワードの命が危ないという予言の噂を
 そこらじゅうに撒き散らし、それから
 その恐れを取り除くという名目で、俺がお前の死に神になる。

(P593、第五幕第六場)

 これはグロスター公リチャードのセリフですが、この部分が『リチャード三世』でのクレランス公ジョージ(リチャードの兄)の「謀殺」につながるわけですな。なるほど、あのよからぬ噂を広めたのはリチャードでしたか。やっぱりというか、さもありなんというか…、この後の『リチャード三世』でのドス黒さを見た者としては納得せざるを得ない。

ヘンリー六世 シェイクスピア全集 19 (ちくま文庫 し 10-19) Book ヘンリー六世 シェイクスピア全集 19 (ちくま文庫 し 10-19)

著者:W. シェイクスピア
販売元:筑摩書房
Amazon.co.jpで詳細を確認する

【関連記事】
ヘンリー六世 全三部(1)
ヘンリー六世 全三部(2)
ヘンリー六世 全三部(3)
・ヘンリー六世 全三部(4)

松岡和子訳『ヘンリー六世 全三部』筑摩書房(3)

 今回取り上げるのは第二部です。第二部では、薔薇戦争が勃発し、セント・オールバンズの戦いまでを描いています。
 百年戦争が終わったらすぐに薔薇戦争とは…、乱世ですなあ。
 ところで、第二部第二場において、ヨーク公爵リチャード・プランタジネットが王権を主張する(自分はイングランドの王になる正当な権利がある!)くだりがあるのですが、その講釈が長い。該当箇所を引用しようかと思いましたが、やめておきます。長々と引用文を入力するのも大変だし、読者が頭の中に家系図を入れておかない限り、読んでもわからないだろうからです(※)。

※母系・父系を含めて家系図を辿ってゆく複雑なものだから、巻末の家系図とセリフを見比べながら読まないといけませんでした。

ヘンリー六世 シェイクスピア全集 19 (ちくま文庫 し 10-19) Book ヘンリー六世 シェイクスピア全集 19 (ちくま文庫 し 10-19)

著者:W. シェイクスピア
販売元:筑摩書房
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ヘンリー六世 全三部(1)
ヘンリー六世 全三部(2)
ヘンリー六世 全三部(3)
ヘンリー六世 全三部(4)

ディックトレイシー(1990年、アメリカ)

監督:ウォーレン・ベイティ
出演:ウォーレン・ベイティ、マドンナ、アル・パチーノ、ダスティン・ホフマン、ジェームズ・カーン
原題:DICK TRACY
備考:1990年アカデミー賞3部門受賞

あらすじ…1930年代、悪がはびこる犯罪都市で心優しきタフな刑事とみなしごキッド少年が正義の為に立ち上がる。しかし2人の行く手を阻むのは、かつてないギャングたちの集結であった……。(パッケージの紹介文より引用)

 アメコミのヒーローの格好を見ていて時々思うのは、
「その衣装じゃ街の中を歩けないだろ」
 ということです。スパイダーマンしかり、バットマンしかり…。
 で、今回の主人公ディック・トレイシー刑事はどうかというと、真っ黄色な帽子をかぶって真っ黄色なコートを着ています。スーパーマンなどに較べればまだ「控え目」ですが、それでも目立つことは目立ちます。その格好で張り込みしてたらすぐにバレるでしょうが…。
 とはいえ、敵の衣装や建物の色なども赤・青・緑といった原色系で出てくるので(建物や道路はカラーライトを当てている)、この作品はそういう色使いなんだと思って慣れればどうということはない…かもしれません。

 ちなみにストーリーについてはノーコメント。主人公のデッィク・トレイシーのキャラクター描写の浅さについてもノーコメント。数日前に観た「地獄の黙示録」とはえらい違いだったと述べるにとどめておきます。

ディック・トレイシー [DVD] DVD ディック・トレイシー [DVD]

販売元:ブエナ・ビスタ・ホーム・エンターテイメント
発売日:2006/01/25
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今日のイチオシDreamNews

DreamNews
今日のイチオシDreamNews

すのこタン。がコミックマーケット78出展情報公開 有限会社マルダイ

松岡和子訳『ヘンリー六世 全三部』筑摩書房(2)

 今回取り上げるのは、ヘンリー五世(ハル)の葬儀から百年戦争の終結までを描いた第一部。
 ここでは、フランス救国の英雄ジャンヌ・ダルクが登場します。ただし、シェイクスピアはジャンヌをヒロイックに描くのではなく、逆に悪く描いています。
 例えば第五幕第三場では戦闘中に悪霊を呼び出していますが、これは魔女の行為そのものです。又、第五幕第四場では処刑直前に「自分は妊娠中だから、出産後まで処刑を延期してくれ」と嘆願し、腹の子の父親としてアランソン、次いでレニエの名を挙げて「聖処女」のイメージをブチ壊しています。
 フランス人にとっては、このようなジャンヌ・ダルク像は噴飯ものでしょうが、イギリス人にとっては、せっかく苦労して切り取った領土を奪った憎っくき仇敵。悪し様に描写しておくことによってイギリス人の観客は溜飲を下げたのではないでしょうか。

ヘンリー六世 シェイクスピア全集 19 (ちくま文庫 し 10-19) Book ヘンリー六世 シェイクスピア全集 19 (ちくま文庫 し 10-19)

著者:W. シェイクスピア
販売元:筑摩書房
Amazon.co.jpで詳細を確認する

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ヘンリー六世 全三部(3)
ヘンリー六世 全三部(4)

松岡和子訳『ヘンリー六世 全三部』筑摩書房(1)

 シェイクスピアの長編歴史劇。時代的には『ヘンリー四世』『ヘンリー五世』と『リチャード三世』の間に位置しており、『ヘンリー四世』の第一部と『リチャード三世』を読んだことのある私にとっては、その方面の知識が少々あったので助かりました。登場人物の関係が複雑に絡まっており、特にイギリス王家の家系図(本書の巻末に収録)はある程度は頭に入れておかないと誰が誰やらわからなくなってしまいます。
 尚、本書は600ページを越える大作で、これをレビューするにはブログの1ページではあまりに狭くなってしまいます(つまり、それだけレビューの分量が膨大になるということです)。そこで、本書のレビューは複数に分けてアップします。続きは次回以降。

ヘンリー六世 シェイクスピア全集 19 (ちくま文庫 し 10-19) Book ヘンリー六世 シェイクスピア全集 19 (ちくま文庫 し 10-19)

著者:W. シェイクスピア
販売元:筑摩書房
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ヘンリー六世 全三部(3)
ヘンリー六世 全三部(4)

Hakone Style 2010 Summer edition

 新宿で入手しました。
 夏の箱根を紹介しています。

 かつて私も、夏の箱根へ一人で行ってきたことがあるのですが、とにかく涼しかったですな。水道の水も冷たかったし。
 というわけで、夏だからといって油断しないで防寒対策(例:上着を持って行く)を忘れずに!

 さて、本誌のレビューに戻りますが、本紙のP6-8の記事「箱根の5つの周り方」では5つのテーマ(アート、歴史、温泉、母娘旅行、おさんぽ)別の観光コースを紹介しています。アートコースで美術館巡りもシャレオツですが、入館料とか結構かかるんですよねえ…。

Hakone Style 2010 Summer edition

地獄の黙示録 特別完全版(2000年、アメリカ)

 特別完全版というのは、監督(コッポラ)が自ら49分ものフッテージを追加したもの(※初公開時、上映時間等の制限により入れられなかったとのこと)。ただでさえ長い作品なのに、更に49分も追加して202分(約3時間半!)もの長さになっていて、私は自宅で数回に分けて視聴しました。

監督:フランシス・F・コッポラ
出演:マーロン・ブラント、ロバート・デュバル、マーティン・シーン、ローレンス・フィッシュバーン、クリスチャン・マルカン、オーロール・マルカン、ハリソン・フォード、デニス・ホッパー
原題:Apocalypse Now REDUX

あらすじ…ベトナム戦争のさ中、命令を無視してジャングルの奥地に“王国”を築いているカーツ大佐を抹殺するため、ウィラード大尉は4人の部下と共に川をさかのぼって行く…。(パッケージの紹介文より引用)

 カーツ大佐やウィラード大尉はもとより、そのほかの登場人物たちも色々と哲学的なことを語ってくれています。哲学に造詣の深い人間ならばこれを観て様々な考察を繰り広げることが可能なのでしょうが、私には荷が重い。荷が重い、と言ったのは、もしもここで私が哲学をやりだすとしたら作品を何度も観なければならず、202分の超大作を繰り返し観るのは正直言って体力的・精神的に無理があるからです。
 ということで、私は哲学的考察は放棄して、ウィラード大尉一行の地獄の道行きを眺めつつ、その中で出会う正気を失った人たちを観察していました。

 それにしても、ダンテ・アリギエーリ『神曲』「地獄篇」みたいだな…。地獄の道行きという表現を用いたことで、数年前に読んだ古典作品を想起しました。一概に比較は出来ないでしょうが、両者を比較考察してみると面白いかもしれませんな(今の私にはとても手に負えないのでやりませんが…)。

 ところで、特別完全版に収録されたシーンの中で、フランス人の農園が登場し、ウィラード一行が歓待されるくだりがあります(※フランスはベトナムを植民地支配していた)。そこで一人のフランス人男性が卵を割って、「白身が出て黄身が残る」と言って立ち去ります。
 字幕では「白身」「黄身」と表記してありましたが、セリフでは「white」「yellow」、つまり白人(white)と黄色人種(yellow)に喩えているわけです。
 自分たち白人は、黄色人種であるベトナム人に追い出される…、その運命は避けられないことは頭ではわかっているものの、心ではそれを認めたくない…。そんな心情が見えてきます。

地獄の黙示録 特別完全版 [DVD] DVD 地獄の黙示録 特別完全版 [DVD]

販売元:角川エンタテインメント
発売日:2010/05/21
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『ヤクルト日和』ヤクルト

 ヤクルトが2008年から新聞各紙に掲載しているシリーズ広告「ヤクルト日和」を小冊子にまとめたもの。ヤクルトの容器の形をしています。
 ところで、ヤクルトの容器がなぜあのような形をしているのかというと…

 それは子供からお年寄りまでみんなが持ちやすい。しかも、中身が一気に口に入らず、少しずつ味わいながら飲める。独特なくびれのある斬新なデザインでした。(P8)

 確かに、くびれたところを掴めば落ちにくいし、あの少ない量をある程度の時間をかけて飲むにはあのくらいのくびれがあった方がいいのでしょう。

ヤクルト日和

http://yakult-biyori.jp/

アドルフ・ヒトラー『わが闘争(上)』角川書店(5)

 「第七章 革命」でドイツ帝国の崩壊を目の当たりにしたヒトラーは、その原因の分析を「第十章 崩壊の原因」(P291-368)で述べています。
 ヒトラーにとってドイツ帝国は、かつて一人の兵士として忠誠を誓った「偉大なる祖国」であり、それがなぜ崩壊したのかを分析しておくことは避けては通れないことです。

 さて、その分析によると、帝国が崩壊した原因は、敗戦(第一次世界大戦での敗北)ではないとのこと。

 つまり、確かに敗戦はわれわれの祖国の将来にとって巨大な意味を持った。しかし敗戦は原因ではなく、それ自体またしても諸原因から生じた一結果であるにすぎない。(P296)

 その上で、ドイツ帝国を崩壊に至らしめた「病原体と病状」(P302)を次々に挙げて行きます。教育の欠陥、君主政治の墓掘人、新聞、梅毒、売春制度、芸術、演劇、戦前の議会政治、…。もちろん、ユダヤ人もこの「病原体」の中に入れておくことを著者は忘れていません。
 そして、本章の最後でこのような結論を述べています。

 旧帝国の破滅のもっとも深い究極的原因は、人種問題および、それが民族の歴史的発展に対してもつ意味を、認識しなかったことにある。なぜなら、民族生活で起るすべての事件は、偶然の現われなのではなく、たとえ、人間が自分の行為の内面的根拠について意識しえない場合にも、種や人種の自己保存と増殖の衝動が進む自然法則的な過程だからである。(P368)

 ということで、「第十一章 民族と人種」へと続きます。尚、第十一章では「人種問題および、それが民族の歴史的発展に対してもつ意味」を論じており、そちらはそちらで突っ込みどころがたくさんあって面白い。
 第十一章のレビューは次回にて。

わが闘争(上)―民族主義的世界観(角川文庫) Book わが闘争(上)―民族主義的世界観(角川文庫)

著者:アドルフ・ヒトラー
販売元:角川書店
Amazon.co.jpで詳細を確認する

『わが闘争』(目次)

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