早川万年『壬申の乱を読み解く』吉川弘文館
西暦672年に起こった、古代日本最大の内戦「壬申の乱」を『日本書紀』の中のジンのらんについて書かれている壬申紀を中心に読み解いていくというもの。
本書では壬申紀に書いてあることのみならず、本来は書いてしかるべきなのに書いていないことにも注目しています。例えば敗者に対する処罰では、
近江朝廷の御史大夫(大納言)とされた紀臣大人の「処分」が書かれていないことをはじめ、壬申紀の末尾に重罪八人を極刑とするとあってもそれが誰なのかわからない。(P99)
とあり、一方の勝者の側についても、『続日本紀』の記述から壬申紀に登場しない功臣を探し出す(P130に一覧表あり)などしています。
書かれていないことに注目するというのは、資料を徹底的に読み込んでいないとできないことであり、その作業量と熱意には脱帽せざるを得ません。
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