この映画は、試写会で観ました。
上映前に会場を見渡してみると、20~30代の若年層が比較的多く見受けられました。又、男女比はおよそ男4:女6といったところでしょうか。
それから、会場に入る際に貰った茶封筒の中をチェックしてみると、この映画のチラシと、協賛のガスとのクーポン付チラシ、そしてすかいらーくグループご優待券500円分が入っていました。
クーポン付チラシはともかく(後でクーポンを切り抜いておきますが)、優待券は正直うれしいです。
監督:堤幸彦
出演:仲間由紀恵、阿部寛、生瀬勝久、野際陽子、松平健、佐藤健、夏帆、片瀬那奈、戸田恵子、平泉成、藤木直人
備考:http://www.yamada-ueda.com/
あらすじ…最強の霊能力者が村人を治める、因習に閉ざされた山村。「カミハエーリ」と呼ばれるその霊能力者が亡くなった。次代のカミハエーリを選ぶ為、村では古くからの掟に従い全国から霊能力者を集め、生死を賭けてトップを競わせる「霊能力者バトルロイヤル」が開催されることに。/優勝者が手に出来るという財宝をせしめようと、おなじみ自称・売れっ子マジシャンの山田奈緒子(仲間由紀恵)と、愚かな風習をやめさせる為に招かれ渋々やってきた上田次郎(阿部寛)は、否応なく恐ろしくも馬鹿馬鹿しい闘いに飲み込まれていく…まるっとお見通せない二人の運命やいかに!?(チラシの紹介文より引用)
看板の文字からガッツ石松に至るまで、細かいネタが次から次へと繰り出されてきます。そのたびに客席からは爆笑とはいかないまでも笑い声が起こっているのが聞こえました。
ここまでギャグを織り込んでしまうと、この映画はもはや推理モノというよりコメディに近いんじゃないかと思えてきます。一応、謎解きはいくつもあるのですが、私の場合、この作品にちりばめられたネタを追いかけているうちにトリックを明らかにされてしまったので、推理を楽しむ余裕はあまりありませんでした。
ところで、看板の文字や山田里見の書道教室の習字作品などは、書いてある内容を全て読むほどの表示時間が与えられておらず、一回の上映で全部拾うには速読術かフラッシュ記憶術でも使わないと無理かもしれません。繰り返し映画を観るか、DVDで一時停止を駆使するかしないと…って、さすがにそこまでしなくていいか。
さて、ここから先は少々のネタバレを含みますので、「まだ観てないからトリックの内容を知りたくない」という人は読み飛ばしてください。
今回対決する霊能力者で「絶対に死なない男」を称する伏見達郎(藤木直人)が崖下でバラバラ死体で発見されるくだりがあるのですが、異常な状態での死亡が「確認」(実際は死んでいなかったのだが)されたのだから警察に通報すべきです。しかし村人たちは一切そんなことをやっていません。
あるいは、「因習に閉ざされた」村人たちはこれを隠蔽しようとしたのだろうか? しかしその場合、死体を回収してどこかに隠さなければなりません。幸い、死体を埋める場所は無数にあります(例:山)。
警察の捜査が入るにせよ、村人が死体を隠すにせよ、いずれにせよ誰かが伏見達郎の「バラバラ死体」に近付いてこれを調べることになり、そうなると彼の死を偽装したトリックがその場で見破られてしまいます。
それがなかったということは、村人たちは「死体」を放ったらかしにしていたわけですか…。いいかげんだなあ。
ところで、今作の舞台となる村は「万練村」(まんねりむら)というのですが、この名称が気になったので、手許の国語辞典(新明解)で「マンネリ」の語を引いてみると「マンネリズムの略」とあり、更に「マンネリズム」の語を引いてみると、「一定のやり方が繰り返されるだけで、新鮮味がないこと」とありました。
マンネリというのは、この「因習に閉ざされた山村」を言い表わしているのでしょうが、それと同時にこの映画についても言えることじゃないかと思いました。というのは、「TRICK」シリーズは、貧乳・巨根の凸凹コンビが自称超能力者・自称霊能者と対決し、彼らのトリックを暴くというのがお決まりのパターンなのですが、今作もそれを忠実に踏襲しているからです。おまけに、相変わらず端役に至るまでキャラクターが濃すぎるし、相変わらず矢部刑事は役立たずだし、相変わらず二人の関係は進展しないし、…。変わったことといえば、対決者の数が増えたことくらいでしょうか。
念のために言っておきますが、私は別にマンネリズムになっていることを非難しているわけではありません。一人の観客として楽しめるのであれば、それはそれで結構なのですから。
その点で言えば、本作はそれなりに楽しめたので良かったです。
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