行政刷新会議「事業仕分け」
11月24日(水)、行政刷新会議の「事業仕分け」を見に行きました。
どんな事業仕分けが行われていたのか、一つ紹介します。
例えば事業番号2-42「(財)日本国際問題研究所補助金」。外務省が財団法人日本国際問題研究所へ支払っている補助金4億2400万円をチェックするというものです。
で、この財団法人ですが、建前上は民間団体ということになっているのですが、国費の割合が78%と、独立した民間の団体とはとても言えない状態です。一応、法人会費として民間から資金を集めてはいるものの、担当者の説明によると「民間から集めるのは難しい」とのこと。
さて、ここで仕分け人が
「民間の資金がなぜ集まらないと思っているのか?」
と質問。それに対して回答者曰く
「わたくし残念ながら答えを持ち合わせているわけではない」
とのこと。要するに「わかりません」と言っているようなもので、この回答は×と採点せざるをえない。
他にも、
・研究の継続性
研究員が2~3年で変わり、しかも彼らをまとめる副所長(外務省からの出向)も同様に2~3年で変わるので、研究の継続性に問題がある。
・随意契約
この財団法人への業務委託は随意契約となっているが、国内の大学・研究機関も含めての競争入札をした方がいいのではないか。
・外務省からの天下り
理事長と専務理事が外務省OBです。この財団法人の理事長が野上義二で年俸1068万円(この人はその昔、田中真紀子外相とバトルを繰り広げた事務次官じゃないか!)。
などと突っ込まれていました。
で、結論は「廃止」。研究の必要性は認められますが、だからといって研究費を官僚の天下り団体にのみ渡して結果的に天下りポストを確保するというのは問題ですな。
私も、事業仕分けを聞いている限りでは「廃止」と判断するのは妥当だと思います。
ところで、もしも外務省がこの補助金を復活させたいと思ったら、どうすればいいか? 私は別に外務官僚の味方ではありませんが、今後とも霞ヶ関の巻き返しが充分予想されるので、それを考えてみるのも悪くはないでしょう。
(1)政治家に圧力をかけてもらう
いわゆる族議員を使って復活折衝をするというものですが、自民党政権ならともかく民主党政権ではこのテは使えないのではないか。
(2)権威ある専門家に圧力をかけてもらう
スパコンの事業仕分けではノーベル賞受賞者などが「スパコン研究は必要だ」と訴えていました。そこで外務省も、権威ある「御用学者」を動員して「補助金は必要だ」という論陣を張ってもらって世論を味方に付ける。ただし、スパコンと違って、国民がこれに賛成する可能性は極めて低い。
(3)補助金の名目を変える
(4)別の財団法人を作ってそこに補助金を付け替える
いわゆる看板の掛け替えというやつ。ただし、これも事業仕分けの対象になったら、よほど上手なロジックを構築して説得力のある弁明をしないと廃止判定されてしまう。
(5)民主党政権崩壊を神に祈る
困った時の神頼み(ただし自分の力で民主党政権と対決しこれを壊そうとまではしない)。自民党政権に戻れば、長年にわたって補助金が支給されてきたという「実績」から復活するかもしれない。
« テックランド Vol.4 | トップページ | 重村智計『金正日の正体』講談社 »
コメント