上杉隆『官邸崩壊 安倍政権迷走の一年』新潮社
安倍晋三政権発足から、それが徐々に壊れてゆき、参議院選挙で惨敗するまでのおよそ一年を描いたもの。参議院選後も、麻生太郎外務大臣(当時)の慰留によって少しだけ安倍政権が続くのですが、「野党の党首(小沢一郎氏)が会ってくれないから」という理由にならない理由を言い残して安倍晋三氏は政権を放り投げるところまでは書かれておらず、尻切れトンボの感はありました。
それはさておき、本書で述べられている安倍政権の欠点の一つに、危機意識の欠如があります。
政権には驚くべき楽観主義が横行していた。誰も目前に迫っている危機に気づかない。いや気づこうとしない。手柄は進んで求めるが、危機は意識的に遠ざける。(P186)
そのため、例えば本間正明税調会長の愛人官舎同棲問題や、松岡利勝農林水産大臣の事務所経費問題(ナントカ還元水!)、失われた年金の問題などで対処が遅れ、しかも対処の方法も拙いせいで問題がますます炎上してしまいました。
この「驚くべき楽観主義」は、一体どこから来るのでしょうか?
ところで、「驚くべき楽観主義」というのは、麻生太郎現首相についても言えるのではないでしょうか。安倍首相の支持率よりもはるかに低い支持率で、目前に迫った総選挙でボロ負けは明白なのに、本人は平気な顔をしています。しかも、記者会見での様子を見ると、どうも勝つ気でいるようにも見受けられました。あの自信は一体どこから来るのでしょうか?
【参考文献】
上杉隆『官邸崩壊 安倍政権迷走の一年』新潮社
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