麻生太郎『とてつもない日本』新潮社
安倍晋三氏の『美しい国へ』がゴーストライターに任せっきりで中味がスカスカ(呼んでみると自分の言葉で書いていないのがわかります)なのに較べると、こちらは「弟に対して、喧嘩だけは絶対に負けないようにした」(P61)とか、カダフィ大佐の息子から手紙を貰ったこと(P164)とか、マンガに対する造詣など、本人ならではの文章になっていて、この点は実に評価できます。
ところで、本書では「日本は必ずよくなる」(P18)、「ニートも、すてたもんじゃない」(P38)、「私は、老化は退化ではなく、どこまでも進化だと思っている」(P74)、「日本への評価は、われわれが思っているよりはるかに高い。そして潜在能力も高い」(P123)など、随分と明るく楽観的なことがこれでもかこれでもかと書かれています(本書の前書きの「はじめに」を読むと、どういう意図でそういうことを書いたのかがわかりますが、それについては省略)。
このような楽観的な文章を目の当たりにしていると、著者(麻生太郎氏)の性格も相当楽観的なんじゃないかと思えてきます。そう考えてみると、麻生内閣の支持率が低水準で次の総選挙ではボロ負け必至が明白なのにも関わらず、麻生首相が平然としているのは本人の性格によるものではないでしょうか。
この分だと、自民党が総選挙で負けて政権与党の座から転落しても、「自民党はまだまだ捨てたもんじゃない。『とてつもない力』を持っている」などと言うかもしれませんな。
というわけで、麻生太郎氏の「次回作」の構想を勝手に練ってみました。
麻生太郎『とてつもない自民党』新嘲社
第1章 政界の実践的先駆者
自民党は必ずよくなる
成功も失敗も進んでさらけ出す政党
利益調整機関としての役割
永田町の幸福
第2章 自民党の底力
世襲議員も、すてたもんじゃない
族議員のハードパワー
自民党が政権与党である理由
私はブレない総理大臣だった
(中略)
第7章 新たなる自由民主主義――麻生ドクトリン
ODAと思いやり予算の安全保障
利権の外交
海外援助は終わりのないマラソン
定額給付金と繁栄の輪を広げる
道路造りのお手伝いをする
永田町の「パワー・ゲーム」
政治家という外交官
有権者とのしなやかなネットワーク
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とてつもない日本 (新潮新書) 著者:麻生 太郎 |
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