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工藤健策『信長は本当に天才だったのか』草思社

 本書の内容は「織田信長は天才である」という通説に疑問を投げかけ、『信長公記』などの資料及び著者の想像からその通説を否定しているものです。曰く、
「信長の上洛戦は成功をおさめたが、上洛後の舵取りは難しく、このあと一歩道を誤れば戦国の歴史から信長の名が消えてしまうほどの波乱がいくつもあった。信長はそれを何とか切り抜けるが、それは『天才』だからできたというより、天才でないがゆえに追った苦労と失敗からの血みどろの脱出だったように思える。」(P80)
「桶狭間以来の戦いの記録を読めば、信長が気のはやる性格のため、冷静な情勢分析ができない欠点を持っていたとわかる」(P122)
「本願寺戦では、思想性の欠如した“並”の武人にすぎない姿が暴露された。」(P177)
 引用はこのくらいにとどめようと思います。さて、どこから突っ込みを入れようか…。
 とその前に、私は敢えてここで言明しておきます。信長は天才である、と。その理由を一つ挙げるとすれば、尾張半国の当地もままならない一介の小大名が、天下統一のところまであと一歩のところまで来るというのは、天才にしかなしえない所業だからです。信長が「“並”の武人」ならとっくに滅亡するか、よくて他の大大名に従属していますって。
 又、本書では明智光秀の謀反を信長が見抜けなかったことを挙げて、「その信長を天才とはいえない」(P205)と断じています。
 しかし天才であっても、見抜けなかった実例は歴史上にあります。例えば、「創造的天才」と称されたユリウス・カエサルは、自らの暗殺を見抜けませんでした。しかも暗殺の実行犯の中には、自分の直属の部下であるカエサル軍団の軍団長がいたにもかかわらず、です。
 とまあこのように、本書はツッコミどころが結構あるので、歴史好きの方は読みながらツッコミを入れてみてはいかがでしょうか。

信長は本当に天才だったのか Book 信長は本当に天才だったのか

著者:工藤 健策
販売元:草思社
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