小島毅『足利義満 消された日本国王』光文社新書
まずこの本を読むに際して、注意しなければならないことがあります。それは、話の脱線が頻繁にあるということです(著者自身が本書の中で「私の悪い癖で、話が脱線ばかりしてなかなか先へ進まない」(P36)と述べているくらいです)。
例えば本筋と全く関係ない(=省いても何ら問題ない)のに、自分の先祖が上杉謙信に仕えていたという「自慢話」が出てきます。ちなみに私の先祖は平家の落人ですが(おっと、著者の癖に引きずられて私も脱線してしまった!)。
さて、話を元に戻します。本書では、室町幕府第三代将軍足利義満が、明の皇帝から「日本国王」に認定してもらうなどして、着々と「日本国王」になってゆくものの、義満の死後にそれが否定されてゆく様が描かれています。
「消された日本国王」というのは、「日本国王」足利義満が暗殺されたことと、足利義満が「日本国王」であった事実が消去されたことの二つの意味があります。
尚、暗殺の容疑者として、本書では栄仁法親王と斯波義将の名前が挙がっていますが、これは著者自身の「かってな想像」(P214)であり、真犯人は不明のままです。まあ、新資料でも出てこない限りは想像をたくましくするしかないんでしょうなあ。
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足利義満 消された日本国王 (光文社新書) 著者:小島 毅 |
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