武田鏡村『[図説]戦国兵法のすべて 孫子を超えた最強の策略「山鹿流兵法」』PHP文庫
タイトルには「戦国兵法のすべて」とありますが、実際には全てではありません。3点、指摘しておきます。
(1)兵法の呪術的側面が無視されている。
例えば織田信長は桶狭間へ向かう途中、熱田神宮に参拝し、そこで馬のひづめの音を聞き、「これは吉兆である」として将兵の士気を高めました。
「何をそんな迷信じみたことを」
と合理主義者は馬鹿にするかもしれませんが、世の中には馬鹿にしない人たちがいることをお忘れなく。
(2)剣術のことが書いてない
兵法の概念は、本書にて述べられているような軍の戦略・戦術の他に、武術(特に剣術)も含みます。例えば「兵法指南役」といえば剣術の師範です。
(3)足利学校の記述無し
軍師の養成機関であった足利学校のことに触れていません。
ただし、少々フォローしておくと、文庫のサイズで「戦国兵法のすべて」を述べるのは無理があります。そのため、忙しいビジネスマン向けに役に立ちそうだと思われる箇所だけかいつまんで収録しているようです。
最後に、山鹿流兵法についてですが、残念ながら私はこれに詳しくないので、本書だけでは山鹿流兵法を論評するのはどうにも心もとない。
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