この映画は、試写会で観ました。
監督:ザック・スナイダー
出演:ジャッキー・アール・ヘイリー、パトリック・ウィルソン、ビリー・クラダップ、マリン・アッカーマン、マシュー・グード、ジェフリー・ディーン・モーガン
原題:WATCHMEN
備考:リアル・ミステリー超大作、R-15
あらすじ…かつて、世界を揺るがした事件の陰には常に<監視者>がいた。彼らは”ウォッチメン“と呼ばれ、人々を見守り続けてきたはずだった――。/そして今、一人の”ウォッチメン“が暗殺されたことからすべての謎は始まった…。(チラシの紹介文より引用)
まず最初に断わっておきますが、この映画は決して万人受けする作品ではありません。寧ろ、観る人を選ぶ、カルトムービーじゃないかとさえ思います。観る人を選ぶ理由を3点ほど挙げておきます。
(1)セックス&バイオレンス
この映画はR-15指定なのですが、ピストン運動が出てくるセックス描写や、血がドバドバ流れる残虐描写などを目の当たりにすると、R-18になってもおかしくないんじゃないか…。
ともあれ、家族と一緒に観るものではないだろうし、エログロが苦手な人は観ない方がいいでしょう。
ところで監督のザック・スナイダーは「300」という映画を作りましたが、そちらの映画も「ウォッチメン」と同様にセックス&バイオレンスが結構あってR-15指定になっていました(又、戦闘シーンではどちらも時折、スローモーションになる)。
(2)政治性が高い
ケネディ暗殺、アポロ計画、ベトナム戦争がウォッチメンたちの活躍(?)とともに登場しますし、更にはアフガン紛争→米ソの対立激化→核戦争一歩手前という状況下で、彼らはそれに関わりながら物語は進行します。
東西冷戦時代の歴史(特にアメリカ史)をある程度知っておかないと、ついていけないでしょう。
(3)灰色の決着
ネタバレになるので詳しくは言えませんが、この映画の結末は、どこぞのアメコミヒーローが活躍するB級アクション映画のような、正義のヒーローが悪い奴らをやっつけてメデタシメデタシ…などといった単純明快な勧善懲悪モノではありません。
私なんぞは、観終わった後にモヤモヤとした感触が頭の中に残りました。寧ろ、色々と考えさせてくれます。
ちなみに、日本人ならばこの映画の中にちょっとだけ出てくる「ジャポニズム」にも触れておいた方がいいかもしれません。それは、初代ナイトオウルに会いに行こうとするダンとローリーを、ウォッチメンだとは知らずに襲い掛かる街の破落戸(ごろつき)たちの髪型です。私の見間違いでなければ、アレは一体…。
他にも、ウォッチメンの一世代前のヒーローたちの描写が駆け足になっており、これらの状況を把握するのが大変だとか、ニクソンたちがいる司令室は映画「博士の異常な愛情」の舞台に似ているとか、Dr.マンハッタンがベトコンを虐殺(一応は戦闘なのですが、あまりにも一方的なのであえて虐殺と表現しました)する時のBGMが「ワルキューレの騎行」なのは映画「地獄の黙示録」を想起させるとか、そもそも上映時間が2時間43分の長さでも足りないくらい大きいボリューム感とか、色々と言及したいことがあります。しかし、この文章が映画以上に長くなるのもいかがなものかと思うので省略します。

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