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堀越孝一=編『新書ヨーロッパ史 中世篇』講談社

 中世ヨーロッパの歴史を新書の形式で概説したもの…なのですが、その中の『概説「ヨーロッパ」の成立』(P19-146)がとにかくつまらない。井沢元彦『逆説の日本史』や塩野七生『ローマ人の物語』は面白いのに、こっちの文章は何故こんなにつまらないのかと思ってしまいます。
 ちょっと長くなりますが、例として引用します。

 アウストラシアはもともとランスやメッツに首邑を置いた公国だったが、七世紀の後半、ランス、メッツはネウストリアにゆずり、重心を東に移動させて、マース川流域からライン川流域にかけて領主支配の網の目をかぶせる内陸農業社会を実現しつつあった。(P37)

 大まかな事実を羅列しているだけで、この文章はさながら、歴史が嫌いになる学生が厭々読まされる歴史教科書の記述のようです。
 例えば、アウストラシアはランス、メッツをなぜネウストリアに譲ったのか、そこにはどんな政治情勢・政治的意図があったのか、さっぱりわからない。
 著者(堀越孝一)はひょっとしたら、「紙幅の関係で…」とか「これは概説。詳しく知りたい方は他の著作をどうぞ」などといった弁明をするかもしれませんが、この本を手に取る読者のモチベーションは高いとは限らないので、読ませる工夫をしておく必要があるということを指摘しておきます。
 ちなみに、本書をちょっとだけフォローしておくと、概説の後に登場する特論1~4は、概説に較べれば面白かったです。概説に較べれば…。

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