重村智計『外交敗北――日朝首脳会談と日米同盟の真実』講談社
日本は北朝鮮に対する外交で敗北を続けてきた。なぜ外交敗北を喫したのか? 本書ではその分析が述べられているのですが、著者の怒りが行間ににじみ出ている感じがします。
ところで、敗北の分析を幾つか列挙してみると…
・政治家たちが国会対策の延長で外交をした(国会対策的外交)。
・外務省は、北朝鮮の外務省を交渉相手とするのではなく、工作機関を相手にしてきた。
・政治家たちは、北朝鮮利権(経済支援金を含む)に目が眩んでいる。
・北朝鮮についての正確な情報の入手・分析ができていなかった(例:一介の通訳に過ぎない黄哲を金日成の側近と勘違いした)。
こうして日本はコメを支援したり、裏で金を渡したりと、北朝鮮にいいようにしゃぶられたわけですな。
とはいえ、日本も負けてばかりではない。北朝鮮利権と無縁である小泉純一郎首相(当時)との首脳会談では、北朝鮮の方が「外交敗北」を喫しました。
日朝首脳会談後に、北朝鮮は過去になかったほどの「外交敗北」を喫したことを、悟った。二回の首脳会談に応じながら、得たものは十二万五千トンの食糧支援だけであった。拉致を認め、拉致の被害者を帰国させてしまった。日本にウソをつき続けた北朝鮮が、初めて「日本のウソ」に乗せられる結果に終わったのである。(P130)
日朝国交正常化も実現しなかったし、それに付随する「経済支援金」も手に入らなかった。
おまけに、その後、日本が船舶の入港検査を厳密にやるようになったり、朝鮮総連の建物が差し押さえになったりなどと、締め付けは強化されています。
世論の後押しもあるので、今後暫くこの流れは変わらないでしょう。
もしもこの流れを変えて日朝国交正常化を実現したいのでしたら、北朝鮮は拉致被害者を全て帰し、核を放棄することですな。
外交敗北――日朝首脳会談の真実 著者:重村 智計 |
最後に一言:金丸信、野中広務、田中均らが「戦犯」だということはわかりました。
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