大いなる幻影(1937年、フランス)
監督:ジャン・ルノワール
主演:ジャン・ギャルバン、ピエール・フレネー
原題:LA GRANDE ILLUSION
備考:ヴェネチア国際映画祭芸術映画賞
ニューヨーク批評家協会賞外国映画作品賞
あらすじ…第一次世界大戦中のドイツ軍捕虜収容所で、収容されたフランス人兵士たちが脱走する。
冒頭に、主人公の一人が戦闘機に乗って偵察飛行せよとの命令を受けるのですが、次のシーンではドイツ軍の捕虜として迎えられています。つまり、出発→飛行→撃墜→拘束の手順が省略されているのです。肝心の戦闘機は出てきません。ひょっとして予算がなかったんでしょうか?
省略は他にもあります。中盤で収容所の看板を次々に映し出して、主人公たちが収容所を転々としたことを示していますし、その後の収容所所長のセリフから主人公たちが何度も脱走を試みたことが示されています。
う~ん、ものすごい省略の仕方だ。
ちなみに、タイトルの「大いなる幻影」とは、自分たちが望む平和というものが、大いなる幻影に過ぎないのではないかとのメッセージによるものです。現在、ヨーロッパでは戦争はなくなりましたが、アフリカや中東を見れば平和はまだまだ「大いなる幻影」だと思えてなりません。
最後に、良かった点について。
テーマもいいのですが、人間ドラマがしっかり描かれている点にも高い評価を与えずにはおきません。例えば、没落しつつある貴族階級と興隆しつつある労働階級との意識の壁が描かれていますが、平等にやかましい現代ではちょっと描けないのではないでしょうか。
他にも、アルプスの景色が美しいとか、音楽がいいなどの特徴がありますが、詳述はやめておきます。
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