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ロミオとジュリエット(1968年、英伊)

監督:フランコ・ゼフィレッリ
出演:レナード・ホワイティング、オリヴィア・ハッセー、マイケル・ヨーク、ジョン・マケナリー
原題:Romeo & Juliet
原作:シェイクスピア『ロミオとジュリエット』
備考:悲劇

あらすじ…イタリアの都市ベロナ(ヴェローナ)。モンタギュー家とキャプレット(キャピュレット)家が対立していた。そんな中、モンタギュー家の御曹子ロミオとキャプレット家の令嬢ジュリエットが激しい恋に落ちる。

 シェイクスピアの映画作品となると、「ハムレット」ならば何本か観ているものの、「ロミオとジュリエット」はお粗末な状況(※)だったなと思い、レンタルビデオにてこれを視聴しました。
 もちろん原作と較べてみるとカットされているところがあります。例えばジュリエットの乳母のセリフはもっと多かったはずですし、最後の霊廟のシーンでも色々と細かな点が改変されています。
 とはいえ、本格的なストーリー展開は変わらないし、衣装も音楽もなかなかいい。ですので、古典劇としての「ロミオとジュリエット」を観賞するのにちょうどいいのかもしれません。

 尚、個人的にはジュリエットの幼い顔立ちが目につきましたが、映画の中でも言及されている通りジュリエットはもうじき満14歳、即ち13歳という設定です。若い。若すぎる。もちろんロミオも若い。
 その若い男女が出会ったその日にプロポーズ、そして翌日には結婚という性急さ。若気の至りってレベルじゃねーぞ!
 こうやって映像化されると、2人の若々しさ、未熟さが見えてしまいます。見方を変えればそれだけピュアなラブストーリーということになるのですが…。

※舞台を現代アメリカに移し、結末もハッピーエンドに変えてしまった「ロニーとジュリー」ならば観たことがあります。

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「ロニーとジュリー」

続・忍びの者(1963年、日本)

監督:山本薩夫
出演:市川雷蔵、藤村志保、城健三朗、坪内ミキ子、東野英治郎、永井智雄、山村聰
備考:時代劇

あらすじ…天正伊賀の乱の後、織田信長による忍者狩りは苛烈を極めていた。妻子と共に山中に隠れ住んでいた石川五右衛門は、忍者狩りに巻き込まれて子供を殺されてしまう。そこで五右衛門は妻の出身地の雑賀に身を寄せる。

「続・忍びの者」人物関係図

 「忍びの者」の続編。前作ではマキが妊娠していましたが、今作では赤子が産まれています。しかし物語の都合上、幸せな日々が長く続くわけがないもので…。

 それから、織田信長による忍者狩りについて。そもそも前作では伊賀の忍者たち(石川五右衛門を含む)が何度も信長を暗殺しようと付け狙っており、しかも今作の冒頭でも忍者が彼を暗殺しようとするくだりがあります。これだけやられたら忍者狩りが執拗になるのは当然といえば当然か。

 又、前作のレビューで織田信雄について、彼の「サディスティックな嗜癖」という「キャラクター特性が活かされることなく話が終わって」しまったのは「少々残念」と述べました。それが今回、捕えた忍者の新しい処刑方法を父親に提案するくだりでその特性が少しは活かされていました。そう、少しは。
 次に、羽柴秀吉(豊臣秀吉)。今作で秀吉を演じているのは初代水戸黄門こと東野英治郎です。私はテレビの再放送で初代水戸黄門を観ていたからそっちの印象が強く残っており、この映画の秀吉を見ると「悪い黄門様」に見えてしまいましたわ。

 最後に、本能寺の変について。映画の中盤に本能寺の変が起こるのですが、実質的にはこれがクライマックスです。
 ネタバレ防止のために詳細は伏せますが、ここで石川五右衛門はいかにも忍者らしい大活躍を見せてくれています。ただし、エグいところがあるのでご注意を。

【忍者映画】
忍びの者
新・影の軍団
新・影の軍団2
忍者ごっこ~超大豪華特別強化版~
ニンジャ☆チアリーダー
忍者ノス伝説

忍びの者(1962年、日本)

監督:山本薩夫
出演:市川雷蔵、伊藤雄之助、藤村志保、城健三朗、西村晃
原作:村山知義『忍びの者』
備考:時代劇

あらすじ…勢力伸長著しい織田信長を、伊賀の忍者たちは付け狙っていた。そんな中、伊賀の百地砦の下忍・石川五右衛門は百地三太夫の妻と密通してしまい…。

「忍びの者」人物関係図

 冒頭の合戦跡は姉川の戦いかと思ったのですが、少々調べてみると、天正元年とあることから一乗谷城の戦いのことだと思われます。
 ちなみにクライマックスの戦争は天正伊賀の乱。こちらは調べるまでもなくわかります。

 さて、登場人物たちをチェックしてみると、百地三太夫と藤林長門守が老人であるのに対し、それぞれの妻(イノネ、ヒノナ)は若くて美人です。これじゃあトロフィー・ワイフみたいだ。
 それから、ここに登場する織田信長は至って恰幅がいい。一時間半の映画のラスボスとしての風格はあります。
 又、信長の息子の信雄は、忍者(与八)の耳をそぎ落とす際に嬉しそうな表情を見せます。ここに彼のサディスティックな嗜癖を表現しているのはいいのですが、そのキャラクター特性が活かされることなく話が終わっています。これは少々残念。
 最後に、百地三太夫について。ネタバレ防止のために詳細は伏せますが、彼は底知れぬ腹黒さの持ち主で、さすがは忍者の親玉だけのことはあります。彼に較べれば石川五右衛門なんてウブな青年です。三太夫がその五右衛門を手玉に取る手練手管たるや恐るべきものがあって、それはそれで面白い。

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怪談(1965年、日本)

監督:小林正樹
英題:Kwaidan
原作:小泉八雲
備考:ホラー、カンヌ国際映画祭審査員特別賞

 4話のオムニバス。よって、出演者やあらすじは各話の項目にて記述します。

「黒髪」
出演:三國連太郎、新珠三千代、渡辺美佐子

あらすじ…昔、ある武士が長い黒髪を持つ妻を捨てて新しい妻と結婚し、遠い地へ赴任する。だが、彼は先妻のことが忘れられなかった。そして任期が明けて先妻と暮らしていた屋敷に戻ってみると…。

 この話の原作のタイトルは「和解」というのですが、私はどうにもこの作品を思い出せない。その代わりに想起したのが上田秋成の『雨月物語』で、調べてみると『雨月物語』の「浅茅が宿」が同じモチーフでした。
 さて、この映像作品の特徴は、主人公の男が目を覚ました後の怪異描写が色々と続くということです。ネタバレ防止のために詳細は伏せますが、この執拗さと結末は原作のタイトル「和解」とは程遠いものとなっています。

「雪女」
出演:仲代達矢、望月優子、浜村純

あらすじ…茂作と巳之吉という二人の木こりが雪山の小屋で夜を過ごすことに。とそこへ雪女がやってきて茂作の命を奪い、若い巳之吉に自分のことは誰にも口外せぬようにと言って去る。そして一年後…。

 雪山の背景が書き割で、しかもそれには幻想的なところがあり、まるでSFの舞台劇を観ているかのようです。それから、空中に描かれている奇妙な「もの」をよく見ると、どうやら目らしい。これは「何か」が巳之吉らを見ているということでしょうか。

 あと、主演が仲代達矢だということは観終わった後に気付きました。いやあ迂闊迂闊。二度目に視聴した時、彼の驚いた顔を見ると確かに仲代達矢だとわかりましたわ。

「耳無し芳一」
出演:中村賀津雄、丹波哲郎、志村喬、田中邦衛

あらすじ…琵琶法師の芳一は夜毎にどこかへ出かける。不審に思った寺の者が調べると、彼は平家の亡霊たちに取り憑かれていた!

 4話の中で一番長大な作品。出演者も多いです。お、中村敦夫も出てるぞ(平教経役で、中村敦雄の名でクレジット)。
 それにしても、琵琶法師の弾き語りを聴かせてくれるのはありがたい。あの世とこの世が交錯するような描写と相まって、幻想的、それもダークファンタジーに近い雰囲気が味わえます。

「茶碗の中」
出演:中村翫右衛門、仲谷昇、滝沢修

あらすじ…関内という武士が茶碗の水を飲もうとすると、茶碗の中に男の顔が。茶碗や水を取り換えてもその男は出現する。そこで関内は思い切ってその水を飲む。その夜、関内の前にその男が現われ、式部平内と名乗る。

 茶碗の中の式部平内の眼射しがゲイ的じゃないかと思えてきました。即ち、平内は関内に「ウホッ」となっているというわけです。
 ちなみにどうしてそんなことに気付いたのかというと、私が以前視聴した「ホモのバットマン」のバットマン(ここではホモという設定)の表情にどこかしら似ていたので「あっ…(察し)」となった次第。
 尚、この話について後で調べてみると、原話は『新著聞集』の「茶店の水椀若年の面を現ず」というもので、衆道の話らしい。とすると、原話の衆道要素がここに入り込んできているということか。

無宿人別帳(1963年、日本)

監督:井上和男
出演:佐田啓二、岡田茉莉子、田村高廣、長門裕之、三國連太郎、中村翫右衛門、渥美清
原作:松本清張
英題:Eacape from Hell
備考:時代劇

あらすじ…江戸時代。佐渡の金山に無宿人たちが運ばれてくる。だが、元々苛酷な労働環境に加え、奉行所からの無茶な命令により死傷者を出し不満が爆発。遂に集団脱走の挙に出る。

 群像劇。ここに出てくるのは無宿人たちのみならず、新任の佐渡奉行、彼の腹心とその妻、出世を目論む小役人、悪徳商人なども各自うごめいています。
 彼らを一々追いかけていたら、一回の視聴だけでは全然足りない! というわけで、ここでは数人に絞って述べることにします。

 まずは渥美清。映画「男はつらいよ」シリーズ以外で彼を見かけるのは珍しく、新鮮です。いえね、彼の長いキャリアの中では他にも数多くの映画に出演しているんですけど、あいにくと観る機会がなかったんですよ。
 で、この作品では無精ひげの無宿人(役名は市兵衛)を演じているのですが、あの顔は不変なので一発でわかりました。

 次に三國連太郎。彼は下役の無宿人(役名は新平)で、最初は目立たない。中盤で悪徳商人から接待を受けるくだりでようやく三國連太郎だと気付きました。
 又、詳しく言うとネタバレになるので明かせませんが、脱出がうまく行かず追い詰められるにつれて、新平は人間の醜悪な部分をどんどん出してきます。これはえぐい。

 最後に、田村高廣演じる佐渡奉行・横内主膳。着任早々に金山の不正を見抜いたことから、それなりに優秀なのでしょう。しかし現場を無視した無茶振りで結局はそれが大惨事へとつながります。ただの無能より性質(たち)が悪い。
 とはいえ、これくらいひどくないと話が盛り上がらないか。

【松本清張原作の映画】
霧の旗(1977年)
張込み(1978年)

バットマン オリジナル・ムービー(1966年、アメリカ)

監督:レスリー・H・マーティンソン
出演:アダム・ウェスト、バート・ウォード、シーザー・ロメロ、フランク・ゴーシン、バージェス・メレディス、リー・メリーウェザー
原題:Batman: The Movie
備考:アクション

あらすじ…ペンギン、ジョーカー、ナゾラー(※)、キャットウーマンが手を組んで、バットマン&ロビンと対決する。

 痛快娯楽活劇。ハラハラドキドキの展開が小気味良く続いてアッという間に終わってしまいますが、観終わってみるとストーリーが頭に残らない!
 もちろん、突っこみどころは山のようにあります。キャットウーマンの変装をバットマンもロビンも見抜けないし(ペンギンの変装は即座に看破したのに!)、ペンタゴンは住所さえわからない人物に潜水艦を払い下げるし、安全保障会議の警備はガバガバだし…と、枚挙にいとまがない。
 でも、そんなことはどうでもいい気がします。およそ1時間半、頭をカラッポにして楽しめるのなら、それはそれで結構なことではありませんか。

 さて、作品の解説も少々述べておきます。この「バットマン オリジナル・ムービー」は60年代テレビドラマの映画版で、有名ヴィラン(悪役)を4人も集めて豪華さを出しています。
 又、パロディ作品でネタにされてきた、壁歩きのシーンも登場するし、クライマックスの戦闘では打撃音が吹き出しで表示されます。それらもお見逃しなく!

※本来はリドラーですが、こちらの日本語版では「ナゾラー」と呼ばれています。

【関連記事】
バットマン(目次)

斬る(1962年、日本)

監督:三隅研次
出演:市川雷蔵、藤村志保、渚まゆみ、天知茂、浅野進治郎、万里昌代、友田輝、柳永二郎
原作:柴田錬三郎
備考:時代劇

あらすじ…小諸藩の高倉信吾は3年の旅から帰る。彼は「三弦の構え」という異様な剣法を身に着けていた。

 71分という、映画としては短い作品なのですが、その割にはストーリーが詰まりに詰まっています。例えば主人公(高倉信吾)の出生の秘密なんて、一本分の映画のストーリーにもなるところをダイジェストにして回想として詰め込んでいます。
 ストーリーはこのような有様ですが、その代わり殺陣(たて)が豊富です。ネタバレ防止のために詳細は伏せますが、まさか木の枝であんな戦い方をするとは驚きました。

 それから、「衝撃のラスト」について。これまたネタバレ防止のために詳細は伏せますが、今の時代劇だったらあんな終わり方が果たして許されるのかどうか…。

嵐の季節(1961年、アメリカ)

監督:フィリップ・ダン
出演:エルヴィス・プレスリー、ホープ・ラング、チューズデイ・ウェルド、ミリー・パーキンス
原題:Wild in the Country
原作:J・R・サマランカ「迷える国」より
備考:青春ラブストーリー

あらすじ…父の愛を得られないために反抗的で不良のグレン(エルヴィス)。喧嘩で兄を傷つけ保護監察となった彼は、やがて年上の精神科女医と出会い激しい恋に落ちた。世に受け入れられない繊細な青年の哀しくも熱い青春が燃え上がる――。(パッケージ裏の紹介文より引用)

「嵐の季節」人物関係図

 まずは人物関係図について少々。
 タイトルの下に「1961年版」としたのは、同名タイトルの邦画(1995年)が別に存在するから。尚、中身は別物です。
 又、ロルフの娘の名前はスタッフロールでは"Noreen"(ノリーン)でしたが、字幕では「ノーリイ」とありました。ノリーンが正式な名前でノーリイが愛称といったところでしょうか。

 さて、それでは映画の中身について。
 本作の見所の一つは、エルヴィス・プレスリーのツンデレが見られる、ということにあります。保護監察となったグレンはアイリーン・スペリーのカウンセリングを受けることになるのですが、第一回目のカウンセリングでツンツンしていたグレンがデレます。
 ストーリーの進行上やむをえないとはいえ(この後も色々と紆余曲折がある)、たった一回でこうなるというのはちょっと早すぎる気がしますな。

 それから、あらすじの段ではグレンがアイリーンに恋をするとありますが、そうなるのは後半に入ってから。それまでは何をしていたのかというと、ガールフレンドのベティとイチャイチャしたり、ノーリイとシャワールームでキャッキャウフフしたりと、それなりにモテモテ生活を送っています。
 なんでこんなにモテるのかというと、彼は歌がうまく、彼の歌声を聴いた女はメロメロになってしまうから。さすがはプレスリー!
 ちなみに物語の中盤でアイリーンはグレンに大学へ行くようすすめますが、この調子だと彼は大学へ行っても恋愛沙汰を起こし続けてしまいそうですな。

新源氏物語(1961年、日本)

監督:森一生
出演:市川雷蔵、寿美花代、中村玉緒、若尾文子
原作:川口松太郎『新源氏物語』
備考:時代劇

あらすじ…平安時代。幼くして母に死に別れた光源氏は、母に似ているという藤壺の宮に恋い焦がれるが、それは道ならぬ恋だった。だが、ある夜、光源氏は藤壺の寝所へ忍び入り…。

「新源氏物語」人物関係図

 私は原作(川口松太郎『新源氏物語』)を読んだことはありませんが、原作の原作(紫式部『源氏物語』)の現代語訳(瀬戸内寂聴版)を「明石」あたりまでは読んだことがあります。そのおかげで人物関係の把握は楽でしたが、予備知識なしで観るのは少々厳しいのではないかと思います。原作や原作の原作を読めとまでは言いませんが、『源氏物語』の解説本くらいは読んで予習しておいた方がいいでしょう。

 さて、本作を観ると、女性の髪形が殆ど同じなので、場面が切り替わった後に登場した女性を見て、「あれ、これ誰だっけ?」と戸惑い、その後のセリフで「ああ、○○だったか」ということがありました。ただし、中村玉緒が演じる朧月夜だけは、目が特徴的なのですぐにわかりましたが。
 朧月夜といえば、『源氏物語』では光源氏が朧月夜の寝所に夜這いして肉体関係を持っていますが、こちらの作品では朧月夜が光源氏を誘って性交に持ち込んでいます。この改変は女性の社会進出および地位向上が影響しているのでしょうか。

 ところで、物語の中盤で光源氏が葵の上と藤壺の宮のダブル妊娠を知らされた直後に葵の上が、
「あの方も御妊娠だそうですね。どなたのお子か知らないけれど」
 と言い放っています。うわぁ、バレてやがる…。
 ちなみに光源氏はその後、偶然立ち寄った屋敷の女主人(末摘花)と一夜を共にし、更に翌朝の帰途ではこれまた偶然立ち寄った家の少女(若紫)が藤壺の姪と知るやこれを拉致しています。
 反省して行いを改めるどころか、女性遍歴は続ける。正気の沙汰ではあるまい。

 最後に良かった点を一つ。葵上がツンデレだった。

雪之丞変化(1963年、日本)

監督:市川崑
出演:長谷川一夫、山本富士子、若尾文子、市川雷蔵、勝新太郎
原作:三上於菟吉『雪之丞変化』
備考:時代劇

あらすじ…上方で評判の女形・中村雪之丞が江戸へやってくる。彼は元長崎奉行・土部三斎とその一味を仇と狙っていた。

「雪之丞変化」人物関係図

 まず最初に、この映画に登場する差別用語について。今日の観点からすれば不適切とされる言葉が出てきます。その言葉とは「河原者(かわらもの)」です。

【河原者】(1)中世、河原に住み、卑賤視された雑役や下級遊芸などに従った者。河原は当時穢(けがれ)を捨てる場所と考えられていた。かわらのもの。(2)江戸時代、歌舞伎役者の賤称。(広辞苑)

 この映画では(2)の意味で使われており、殊に雪之丞を指します。
 歌舞伎役者といえば今でこそ人間国宝を輩出するなど地位も高いものの、江戸時代は賤民として蔑まれていました。その社会的差別を考慮に入れるならば、雪之丞は被差別民に身を落としてでも復讐を遂げようとする、という執念を感じ取ることができるのです。

 ところで、この映画の特色の一つとして、舞台演劇を意識した演出があります。遠くからの撮影はまるで一個の舞台を見ているようだし、出演者がやたらと説明口調になったりするのも舞台演劇ではよくあることです。
 作風は異なりますが、フェデリコ・フェリーニの「サテリコン」を思い出しました。

 最後に一つ。「雪之丞変化」は何度も映画化されているのみならず、ドラマ化や舞台化もされていますが、私が視聴したのはこの1963年版の映画だけです。ですので、他の同名作品との比較はここでは致しません。もしも比較レビューをご希望の場合は、時代劇マニアのところへでも行って、どうぞ。

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