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バットマン オリジナル・ムービー(1966年、アメリカ)

監督:レスリー・H・マーティンソン
出演:アダム・ウェスト、バート・ウォード、シーザー・ロメロ、フランク・ゴーシン、バージェス・メレディス、リー・メリーウェザー
原題:Batman: The Movie
備考:アクション

あらすじ…ペンギン、ジョーカー、ナゾラー(※)、キャットウーマンが手を組んで、バットマン&ロビンと対決する。

 痛快娯楽活劇。ハラハラドキドキの展開が小気味良く続いてアッという間に終わってしまいますが、観終わってみるとストーリーが頭に残らない!
 もちろん、突っこみどころは山のようにあります。キャットウーマンの変装をバットマンもロビンも見抜けないし(ペンギンの変装は即座に看破したのに!)、ペンタゴンは住所さえわからない人物に潜水艦を払い下げるし、安全保障会議の警備はガバガバだし…と、枚挙にいとまがない。
 でも、そんなことはどうでもいい気がします。およそ1時間半、頭をカラッポにして楽しめるのなら、それはそれで結構なことではありませんか。

 さて、作品の解説も少々述べておきます。この「バットマン オリジナル・ムービー」は60年代テレビドラマの映画版で、有名ヴィラン(悪役)を4人も集めて豪華さを出しています。
 又、パロディ作品でネタにされてきた、壁歩きのシーンも登場するし、クライマックスの戦闘では打撃音が吹き出しで表示されます。それらもお見逃しなく!

※本来はリドラーですが、こちらの日本語版では「ナゾラー」と呼ばれています。

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バットマン(目次)

斬る(1962年、日本)

監督:三隅研次
出演:市川雷蔵、藤村志保、渚まゆみ、天知茂、浅野進治郎、万里昌代、友田輝、柳永二郎
原作:柴田錬三郎
備考:時代劇

あらすじ…小諸藩の高倉信吾は3年の旅から帰る。彼は「三弦の構え」という異様な剣法を身に着けていた。

 71分という、映画としては短い作品なのですが、その割にはストーリーが詰まりに詰まっています。例えば主人公(高倉信吾)の出生の秘密なんて、一本分の映画のストーリーにもなるところをダイジェストにして回想として詰め込んでいます。
 ストーリーはこのような有様ですが、その代わり殺陣(たて)が豊富です。ネタバレ防止のために詳細は伏せますが、まさか木の枝であんな戦い方をするとは驚きました。

 それから、「衝撃のラスト」について。これまたネタバレ防止のために詳細は伏せますが、今の時代劇だったらあんな終わり方が果たして許されるのかどうか…。

嵐の季節(1961年、アメリカ)

監督:フィリップ・ダン
出演:エルヴィス・プレスリー、ホープ・ラング、チューズデイ・ウェルド、ミリー・パーキンス
原題:Wild in the Country
原作:J・R・サマランカ「迷える国」より
備考:青春ラブストーリー

あらすじ…父の愛を得られないために反抗的で不良のグレン(エルヴィス)。喧嘩で兄を傷つけ保護監察となった彼は、やがて年上の精神科女医と出会い激しい恋に落ちた。世に受け入れられない繊細な青年の哀しくも熱い青春が燃え上がる――。(パッケージ裏の紹介文より引用)

「嵐の季節」人物関係図

 まずは人物関係図について少々。
 タイトルの下に「1961年版」としたのは、同名タイトルの邦画(1995年)が別に存在するから。尚、中身は別物です。
 又、ロルフの娘の名前はスタッフロールでは"Noreen"(ノリーン)でしたが、字幕では「ノーリイ」とありました。ノリーンが正式な名前でノーリイが愛称といったところでしょうか。

 さて、それでは映画の中身について。
 本作の見所の一つは、エルヴィス・プレスリーのツンデレが見られる、ということにあります。保護監察となったグレンはアイリーン・スペリーのカウンセリングを受けることになるのですが、第一回目のカウンセリングでツンツンしていたグレンがデレます。
 ストーリーの進行上やむをえないとはいえ(この後も色々と紆余曲折がある)、たった一回でこうなるというのはちょっと早すぎる気がしますな。

 それから、あらすじの段ではグレンがアイリーンに恋をするとありますが、そうなるのは後半に入ってから。それまでは何をしていたのかというと、ガールフレンドのベティとイチャイチャしたり、ノーリイとシャワールームでキャッキャウフフしたりと、それなりにモテモテ生活を送っています。
 なんでこんなにモテるのかというと、彼は歌がうまく、彼の歌声を聴いた女はメロメロになってしまうから。さすがはプレスリー!
 ちなみに物語の中盤でアイリーンはグレンに大学へ行くようすすめますが、この調子だと彼は大学へ行っても恋愛沙汰を起こし続けてしまいそうですな。

新源氏物語(1961年、日本)

監督:森一生
出演:市川雷蔵、寿美花代、中村玉緒、若尾文子
原作:川口松太郎『新源氏物語』
備考:時代劇

あらすじ…平安時代。幼くして母に死に別れた光源氏は、母に似ているという藤壺の宮に恋い焦がれるが、それは道ならぬ恋だった。だが、ある夜、光源氏は藤壺の寝所へ忍び入り…。

「新源氏物語」人物関係図

 私は原作(川口松太郎『新源氏物語』)を読んだことはありませんが、原作の原作(紫式部『源氏物語』)の現代語訳(瀬戸内寂聴版)を「明石」あたりまでは読んだことがあります。そのおかげで人物関係の把握は楽でしたが、予備知識なしで観るのは少々厳しいのではないかと思います。原作や原作の原作を読めとまでは言いませんが、『源氏物語』の解説本くらいは読んで予習しておいた方がいいでしょう。

 さて、本作を観ると、女性の髪形が殆ど同じなので、場面が切り替わった後に登場した女性を見て、「あれ、これ誰だっけ?」と戸惑い、その後のセリフで「ああ、○○だったか」ということがありました。ただし、中村玉緒が演じる朧月夜だけは、目が特徴的なのですぐにわかりましたが。
 朧月夜といえば、『源氏物語』では光源氏が朧月夜の寝所に夜這いして肉体関係を持っていますが、こちらの作品では朧月夜が光源氏を誘って性交に持ち込んでいます。この改変は女性の社会進出および地位向上が影響しているのでしょうか。

 ところで、物語の中盤で光源氏が葵の上と藤壺の宮のダブル妊娠を知らされた直後に葵の上が、
「あの方も御妊娠だそうですね。どなたのお子か知らないけれど」
 と言い放っています。うわぁ、バレてやがる…。
 ちなみに光源氏はその後、偶然立ち寄った屋敷の女主人(末摘花)と一夜を共にし、更に翌朝の帰途ではこれまた偶然立ち寄った家の少女(若紫)が藤壺の姪と知るやこれを拉致しています。
 反省して行いを改めるどころか、女性遍歴は続ける。正気の沙汰ではあるまい。

 最後に良かった点を一つ。葵上がツンデレだった。

雪之丞変化(1963年、日本)

監督:市川崑
出演:長谷川一夫、山本富士子、若尾文子、市川雷蔵、勝新太郎
原作:三上於菟吉『雪之丞変化』
備考:時代劇

あらすじ…上方で評判の女形・中村雪之丞が江戸へやってくる。彼は元長崎奉行・土部三斎とその一味を仇と狙っていた。

「雪之丞変化」人物関係図

 まず最初に、この映画に登場する差別用語について。今日の観点からすれば不適切とされる言葉が出てきます。その言葉とは「河原者(かわらもの)」です。

【河原者】(1)中世、河原に住み、卑賤視された雑役や下級遊芸などに従った者。河原は当時穢(けがれ)を捨てる場所と考えられていた。かわらのもの。(2)江戸時代、歌舞伎役者の賤称。(広辞苑)

 この映画では(2)の意味で使われており、殊に雪之丞を指します。
 歌舞伎役者といえば今でこそ人間国宝を輩出するなど地位も高いものの、江戸時代は賤民として蔑まれていました。その社会的差別を考慮に入れるならば、雪之丞は被差別民に身を落としてでも復讐を遂げようとする、という執念を感じ取ることができるのです。

 ところで、この映画の特色の一つとして、舞台演劇を意識した演出があります。遠くからの撮影はまるで一個の舞台を見ているようだし、出演者がやたらと説明口調になったりするのも舞台演劇ではよくあることです。
 作風は異なりますが、フェデリコ・フェリーニの「サテリコン」を思い出しました。

 最後に一つ。「雪之丞変化」は何度も映画化されているのみならず、ドラマ化や舞台化もされていますが、私が視聴したのはこの1963年版の映画だけです。ですので、他の同名作品との比較はここでは致しません。もしも比較レビューをご希望の場合は、時代劇マニアのところへでも行って、どうぞ。

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淀川長治『淀川長治映画ベスト10+α』河出書房新社

日本暗殺秘録(1969年、日本)

監督:中島貞夫
出演:千葉真一、田宮二郎、藤純子、若山富三郎、高倉健、鶴田浩二、片岡千恵蔵、菅原文太
原作:鈴木正『暗殺秘録』
備考:アクション

 桜田門外の変を始めとする日本の9つの暗殺事件をオムニバス風にした映画。ただ、その中でも千葉真一演じる小沼正のパート(血盟団事件)が大部分を占めており、これだけで映画一本分は行けそうな量となっています。
 とはいえ、スカーフェイスの菅原文太(安田善次郎暗殺事件)や、青年将校の高倉健(相沢三郎事件)もなかなか捨てがたい魅力を放っています。

 さて、この映画の予告篇で「暗殺は是か非か」とあったので、それについて少々考えてみることにします。
 言うまでもないことですが、法律的には暗殺は非です。実際、ここで描かれた暗殺者たちの多くは捕えられ裁きにかけられています。二・二六事件のパートに至っては、ご丁寧にも処刑のシーンまで出てきますからね。
 映画の中で井上日召が小沼正に、捕まった際の対応をレクチャーするくだりが出てきますが、彼らだってそうなることぐらいわかっていたわけです。それでも敢えて暗殺に走った彼らに対して、後世の人間が賢(さか)しらに法律を云々しても無意味でしょう。
 そうですねえ、私だったら彼らにこう言ってみましょうかね。
「なるほど、あなた方は崇高な理念を掲げておいでのようだ。では、暗殺によってその理念は実現しましたか?」
 例えば桜田門外の変で大老が暗殺されても幕府の開国政策は維持されたし、朝日平吾が安田善次郎を殺しても貧民は救済されない。星亨を殺しても腐敗した政治家は他にも大勢いる…。
 かつて私は「覇王伝アッティラ」という映画のレビューの中で暗殺の有用性について述べました。しかしここで注意していただきたいのは、「神の災い」とも呼ばれたアッティラ大王ならば暗殺の効果は大きいのであって、大臣クラスの人間ならば殺しても替わりが次々に出てくるということです。まさか全員ブッ殺せとでも?

 最後に、イギリス映画「大統領暗殺」についても言及しておきます。「大統領暗殺」はブッシュ大統領(当時)が暗殺されたという架空の設定で描かれたモキュメンタリーですが、この作品内ではブッシュ暗殺後にチェイニー副大統領が大統領に昇格しました。当然のことながらブッシュ政権の政策も継承されています。
 アメリカ大統領を暗殺しても、このザマです。

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大統領暗殺

日本暗殺秘録

心中天網島(1969年、日本)

監督:篠田正浩
出演:二代目中村吉右衛門、岩下志麻、左時枝、藤原釜足
原作:近松門左衛門『心中天網島』
備考:時代劇

あらすじ…紙屋治兵衛は妻子ある身でありながら遊女の小春に入れあげていて、二人は情死(心中)のおそれがあった。そんなある時、一人の武士が小春へ会いに来て…。

「心中天網島」人物関係図

 人類にはちょっと早い、前衛的な作品。映画に黒子を登場させたりしていて、それがかえって斬新な印象を与えています。
 ちなみにこの黒子ですが、冒頭の心中死体を囲んで立っているところと、最後の首くくりを手伝うさまを観ていると、何だか彼らが死神に見えてきました。

 最後に一つ。岩下志麻がエロかった。

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鑓の権三

心中天網島

不知火検校(1960年、日本)

監督:森一生
出演:勝新太郎、中村玉緒、近藤美恵子、須賀不二男、鶴見丈二、丹羽又三郎、安部徹、倉田マユミ
備考:時代劇、ピカレスク

あらすじ…盲目の七之助は不知火検校に弟子入りし杉の市と名乗る。杉の市は数々の悪事に手を染めて行き、遂には師匠を殺して二代目不知火検校となる。

「不知火検校」人物関係図

 勝新太郎が按摩を演じるとなると、ついつい座頭市に見えてしまいます。しかし、こちらの映画は座頭市シリーズより古く、不知火検校はいわば座頭市のプロトタイプみたいな存在となっています。
 不知火検校も座頭市も悪党には違いないのですが、不知火検校の悪辣さ・いやらしさは座頭市にはない特徴と言えるでしょう。

 最後に一つ。不知火検校が大八車に縛り付けられて連行されてゆくシーンで、私は勝新太郎の「色気」を感じてしまいました。いかん、危ない危ない危ない…。

不知火検校

地獄に堕ちた勇者ども(1969年、伊・西独)

監督:ルキノ・ヴィスコンティ
出演:ダーク・ボガード、イングリッド・チューリン、ヘルムート・バーガー、ラインハルト・コルデホフ、ルノー・ヴェルレー
伊題:La Caduta degli dei(神々の没落)
英題:The Damned(地獄に堕ちた人々)
備考:ドイツ三部作

あらすじ…1933年2月、製鉄王のエッセンベック男爵家で当主ヨアヒムの誕生日パーティーが開かれるが、その夜に国会議事堂放火事件が起こり、更にはヨアヒムが殺害される。

 あらすじの項で述べた事柄はこの映画のほんの一部であり、この後色々あって「長いナイフの夜の事件」に突入します。私はレンタルビデオで視聴したのですが、「お前はワグナーか」というくらいのあまりの長さに、何回かに分けて観ることになりました。

 さて、まずはエッセンベック家という「華麗なる一族」の関係図を作成してみました。尚、肩書きは物語開始時点のものを使用しています。

「地獄に堕ちた勇者ども」人物関係図

 この映画の予告篇ではマルティンが一人テーブルに座ってテーブルをバンバン叩くシーンが挿入されていますが、あれは本編の終わり近くに位置するシーンであり、映画の序盤ではヨアヒム・エッセンベックがあの席に座ってテーブルをバンバン叩き、ヨアヒム亡き後はフリードリッヒ・ブルックマンがそれをやっています。
 あの席は家長の席であり、あそこに座ってテーブルをバンバン叩く行為は家長として取り仕切る意味があったのですが、ヨアヒムの時は満席だったのにフリードリッヒの時は半分ほどに減り、マルティンの時に至っては彼一人。「華麗なる一族」はどこへ行った?
 ネタバレ防止のために彼らがどんな末路を辿ったのかは伏せておきますが、どいつもこいつもロクな目に遭っちゃいないことは確かなようです。残ったマルティンだって安泰とは言えません。その後のナチス・ドイツがどうなるかを知っていれば、彼の運命もおのずと予想が着くというものです。

 ところで、物語の中盤で突撃隊の「休暇」が描写されるのですが、水泳したり射撃したり酒盛りしたり…と、結構長々と尺を取っています。何もそんなに延々と映さなくてもと思うかもしれませんが、彼らを長々と楽しませることで、その後に襲ってくる悲劇をより一層きわ立たせる効果があります。諸行無常。
 それから、突撃隊員たちの男色と思われるシーンがあります。夜は男の尻に突撃ですか。
 なぜ男色が入っているのかなと疑問に思いましたが、そもそも「地獄に堕ちた勇者ども」はヴィスコンティ監督のドイツ三部作の一つであり、残りの二作は「ベニスに死す」と「ルートヴィヒ」(※)と知って、あっ…(察し)

 最後に、時代背景や突撃隊、長いナイフの夜などについて解説を加えておこうかとも思いましたが、記事の文量が既にこの映画並みに長大になっているので割愛します。詳しく知りたい方はグーグル先生に訊ねるなり歴史書をひもとくなりしてお調べ下さい。

※「ベニスに死す」は老小説家♂(映画では老作曲家)が美少年♂に恋をする話だし、「ルートヴィヒ」の主人公・ルートヴィッヒ2世は同性愛者だったとされる。┌(┌^o^)┐ホモォ...

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塩野七生&アントニオ・シモーネ『ローマで語る』集英社

地獄に堕ちた勇者ども

マタンゴ(1963年、日本)

監督:本多猪四郎
出演:久保明、土屋嘉男、小泉博、太刀川寛、佐原健二、水野久美、八代美紀、天本英世
原案:星新一、福島正美、ウイリアム・ホープ・ホジスン「闇の声」より
備考:SFホラー

あらすじ…7人の男女がヨットで航行中に嵐に遭遇し、南海の無人島に漂着する。だが、その島にはマタンゴがいた!!!

 マタンゴというと、私はドラクエのモンスターを思い出します。ドラクエ3の攻略本に載っていたのでここに引用します。

マタンゴ

 このモンスターの元ネタはこの映画だったのか。
 あ、ちなみにドラクエのマタンゴはモンスターの中では弱い方ですが、映画のマタンゴも戦闘力に限って言えば強くはないです。腕だって簡単にちぎれますから。

 ところで、この映画ではついついマタンゴに注目しがちですが、私はあえて二度見して人物関係図を作ってみました。

「マタンゴ」人物関係図

 作ってみて気付いたのは、彼らは無人島に漂着し、極限状態の中で追い詰められて人間関係が崩壊して行ったということです。おそらく、マタンゴが介在していなくても遅かれ早かれ殺し合いに発展したのではないでしょうか。
 そう考えると、この作品は『蠅の王』や『東京島』などと同種の話だと見ることができるかもしれません。

マタンゴ

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