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月笛日笛 完結篇 千丈ヶ原の激斗(1955年、日本)

監督:丸根賛太郎
出演:石井一雄、伏見扇太郎、山口勇、千原しのぶ、宇治みさ子、西条鮎子
原作:吉川英治
備考:時代劇

あらすじ…鬼怒川蕭白の一味に奪われた名馬・吹雪だったが、加藤孫六の手により六条左馬頭の元に戻される。一方その頃、吹雪を左馬頭に託した春美も上京し、鬼怒川蕭白の正体が実は父の仇・鎌田十兵衛であることを知る。

 第二篇の続き。
 加藤孫六とは、賤ヶ岳の七本槍の一人、加藤嘉明(よしあきら)。これを出してくるとはなかなか渋いチョイスですな。
 ところで、鬼怒川蕭白が父の仇だと知った春美は、夜に単身、蕭白邸に殴り込みをかけます。いくら何でも短慮が過ぎるぞ…と思ったら、あっさり落とし穴に落ちてしまいます。言わんこっちゃない。
 それから、サブタイトルの「千丈ヶ原の激斗」ですが、「激斗(激闘)」とあるからには「千丈ヶ原」はクライマックスの戦いの舞台だと予想。だとすると、競馬(加茂の競べ馬)がクライマックスじゃないのか。まあ、実際のところどうだったのかは、ネタバレ防止のために伏せておきます。

抜き射ち二挺拳銃(1952年、アメリカ)

監督:ドン・シーゲル
出演:オーディ・マーフィ、スティーヴン・マクナリー、フェイス・ドマーグ、スーザン・キャボット、ジェラルド・モーア
原題:The Duel at Silver Creek
備考:西部劇

あらすじ…ゴールドラッシュにわくカリフォルニアでは、鉱区の権利を強奪する一団が暗躍していた。その強奪団に父親を殺されたルーク・クロムウェル(通称・シルバーキッド)は父の仇を探す。一方、保安官タイロン(通称・稲妻)は強奪団に狙撃され、負傷して右手の指が利かなくなる。そんな中、タイロンはルークの銃の腕を見込んで、彼を保安官助手にする。

「抜き射ち二挺拳銃」人物関係図

 作品の背景にあるのはカリフォルニア・ゴールドラッシュ(1848~1855年)で、時代的には南北戦争(1861~1865年)の少し前です。日本だと、黒船来航(1853年)があった頃です。
 それから、人物関係図を作ってみると、保安官のタイロン(稲妻)が中心に来てしまいました。主人公のルーク(シルバーキッド)は脇に追いやられています。ストーリーの主軸はタイロンにある、と見ていいでしょう。
 最後に、邦題の「抜き射ち二挺拳銃」ですが、これをやるのはシルバーキッドです。ただし、早撃ちなので見逃さないようにご注意を。

月笛日笛 第二篇 白馬空を飛ぶ(1955年、日本)

監督:丸根賛太郎
出演:石井一雄、伏見扇太郎、山口勇、千原しのぶ
原作:吉川英治
備考:時代劇

あらすじ…レース中に落馬した六条左馬頭は重傷を負ってしまう。左馬頭は傷が癒えると名馬を探して各地を旅する。そして旅先で名馬・吹雪に乗った春美と出会う。

 第一篇の続き。
 まずは副題の「白馬空を飛ぶ」について。ここでいう白馬とは吹雪のことなのですが、少々ネタバレをすると実際にこいつは空は飛びません。馬が空を飛ぶような世界観ではない、ということは第一篇・第二篇を通して観てきた者ならわかるはずです。従って、空を飛ぶというのは比喩的表現と見ていい。
 それから、物語の後半で菊太郎が笛を吹こうとすると音が出ず、菊太郎はこれによって兄の危難を察知するくだりがあります。ここはこの作品では珍しいファンタジー要素かもしれません。
 そんなわけで完結篇へと続く。

月笛日笛 第一篇 月下の若武者(1955年、日本)

監督:丸根賛太郎
出演:石井一雄、伏見扇太郎、山口勇
原作:吉川英治
備考:時代劇

あらすじ…天正16年(1588年)、加茂の馬場で禁門方(六条左馬頭)と武家方(鬼怒川粛白)の競い馬が催された。その1年後、六条左馬頭は雪辱を果たそうとしていた。一方、鬼怒川粛白は不正をしようとしていた。

「月笛日笛 第一篇 月下の若武者」人物関係図

 タイトルの「月笛日笛」とは、六条兄弟が持っている月笛と日笛のことで、作品中で笛を吹くシーンがあります。ただ、第一篇ではストーリーの本筋にそこまで大きな影響を与えてはいない。月笛日笛が重要な役割を果たすようになるのはまだ先のようです。
 ところで、競い馬とは簡単に言えば馬のレースなのですが、乗り手の接写シーンと引きで撮ったシーンは明らかに別撮りです。接写シーンでは、乗馬して走らせていればもっと上下に動いていいはずのところ、そんなに上下していないからです。
 そんなわけで第二篇に続く。

三日月童子 完結篇 万里の魔鏡(1954年、日本)

監督:小沢茂弘
出演:東千代之介、千原しのぶ、仙石規子、藤里まゆみ、小柴幹治
原作:北村寿夫
備考:時代劇

あらすじ…お蝶を連れた黒姫太郎が、千鶴を攫って京の五重塔に幽閉する。お蝶はふとしたことから千鶴が黒姫太郎の妹だと知る。

 第一篇第二篇ではどくろの面に対してなすすべもなかった三日月童子。今作ではさすがに対策を練ってくるだろうと思ったら、五重塔で三日月童子は気合と根性でどくろの面に立ち向かっています。おいおい、こいつ学習してないな。
 それはさておき、副題の「万里の魔鏡」とは…提婆の家にあったテレビだな。室町時代にテレビとはおかしな話ですが、そこは妖術ということで。妖術って便利だなー。

三日月童子 第二篇 天馬空を征く(1954年、日本)

監督:小沢茂弘
出演:東千代之介、千原しのぶ、仙石規子、藤里まゆみ、小柴幹治
原作:北村寿夫
備考:時代劇

あらすじ…三日月童子は処刑されそうになるが、すんでのところで提婆に救われる。三日月童子は再び出雲へ向かう。一方、三日月童子の妹・お蝶は人気の踊り手となっていた。

 第一篇の続き。
 第一篇の終わりで三日月童子が妖術で翻弄しているところへドクロの面を持った黒姫太郎が現われ、三日月童子は妖術を使えなくなってしまい捕らえられてしまったのですが、このパターンが第二篇でも繰り返されます。
 おいおい、いい加減、学習しようよ。事前に何らかの方法でドクロの面を破壊しておくとか、黒姫太郎がいない時を見計らってコトを起こすとか、やりようは色々と考えられますぞ。
 それから、今作の副題は「天馬空を征く」ですが、空を征く天馬が登場するのは次の完結篇となっています。そんなわけで完結篇へと続く。

三日月童子 第一篇 剣雲槍ぶすま(1954年、日本)

監督:小沢茂弘
出演:東千代之介、山手弘、松島トモ子、仙石規子
原作:北村寿夫
備考:時代劇

あらすじ…代官・加々見大五郎の娘・千鶴が山賊にさらわれていたところを、山に住む六助少年が助ける。千鶴と六助、六助の妹のお蝶は仲良しになる。だが、六助の父・五兵衛が持つ白鳥の珠を代官が狙っていて…。

「三日月童子 第一篇 剣雲槍ぶすま」人物関係図

 冒頭、「笛吹童子や霧の小次郎より少し前の頃―」と出てきます。とすると、室町時代後期か(私は霧の小次郎は未見ですが、笛吹童子ならば「新諸国物語 笛吹童子」三部作をレビューしております)。
 序盤で六助が山賊にウ〇コを投げつけるシーンがあるのですが、その際にアンダースローだのカーブだのと言っています。野球かよ!
 それから後半で、三日月童子が加々見大五郎改め加々見山城守を得意の妖術で翻弄するくだりが出てきます。いや、いたぶってないでさっさと仕留めろよ、邪魔が入らないうちに。それにそもそも、お前には父親の救出や妹の探索など、やることがいっぱいあるんだぞ。
 おそらくこの時の三日月童子は、自信満々で油断していたものと思われます。
 そんなわけで第二篇に続く。

里見八犬傳 完結篇 暁の勝鬨(1954年、日本)

監督:河野寿一
出演:東千代之助、中村錦之助、田代百合子、藤里まゆみ、石井一雄、島田照夫
原作:滝沢馬琴『南総里見八犬伝』
備考:時代劇

あらすじ…石濱城で馬加大記を討った七剣士は、更なる旅に出る。一方、網干左母二郎は妖術使いの夕顔と手を組む。

 第四部の続き。
 夕顔と手を組んだ網干左母二郎は、まんまと館山城主の地位を手に入れます。更には里見氏に帰順すると見せかけ、和議の席へノコノコやってきた幼い里見義通を人質に取ります。いやちょっと待て、いくら何でも里見側の脇が甘すぎるぞ。本来ならここは網干左母二郎が里見のもとへ参上するべきで、それができないならせめて夕顔あたりを証人(人質)に出すのが筋かと思われます。
 それから、後半はクライマックスの戦闘があるのですが、これが結構長い。馬による「カーチェイス」も間に挟んで、20分くらいありました。最後となるとそれだけ力が入っていることがうかがえます。

里見八犬傳 第四部 血盟八剣士(1954年、日本)

監督:河野寿一
出演:東千代之介、中村錦之助、島田照夫、藤里まゆみ
原作:滝沢馬琴『南総里見八犬伝』
備考:時代劇

あらすじ…犬山道節と合流した犬塚信乃、犬飼現八、犬川荘助、犬村大角は、石濱城へ向かう。そこには犬田小文吾、犬坂毛野がいた。又、城主・馬加大記が謀反を企んでいて…。

 第三部の続き。
 石濱城には田楽一座と犬田小文吾が逗留しています。だがちょっと待ってほしい。城は軍事機密の塊なのに、余所者をそう安々と逗留させるのはいかがなものかと思いますぞ。ここは、城下町の家臣の屋敷にとどめ置くのがよろしいかと。
 ところで、第四部のクライマックスの殺陣は夜間の石濱城なのですが、明らかに昼間に屋外で撮影したシーンが挟まっています。いつの間に昼になったんだ!? それに、夜間にしては人が多すぎるぞ。
 そんなわけで完結篇に続く。

里見八犬傳 第三部 怪猫乱舞(1954年、日本)

監督:河野寿一
出演:東千代之介、中村錦之助、石井一雄、中村玉緒
原作:滝沢馬琴『南総里見八犬伝』
備考:時代劇

あらすじ…犬川荘助が無実の罪により処刑されそうになったところを、犬塚信乃・犬田小文吾・犬飼現八が斬り込み、更に犬山道節が助太刀に入って荘助の救出に成功する。一方その頃、網乾左母二郎が浜路を手籠めにしようとしたが、何者かに妨害される。

 第二部の続き。
 犬川荘助を救出した後の中盤以降は、赤岩村の化け猫話が展開されます。ネタバレ防止のために詳細は伏せますが、タイトルの「怪猫乱舞」の怪猫とはこれのことです。
 そもそも『南総里見八犬伝』はファンタジーの要素が強い作品なのですが、この話では怪猫の他にも幽霊が登場しており、ここではダークファンタジーの色彩が濃くなっています。
 そんなわけで第四部に続く。

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